*わからない
ルシファーは、いつも暇ではない。スケジュールは秒単位、一度外に出ると魔界では用事どころではないし、恋人とは契約者を持つ同士、用事が合わないばかり。人間界で会うことは考えても無駄。
だから、月一度に会える日だけは
「よお、何やってんだよ?」
「何でもありません。」
恋人を無視して机に向かう姿は納得できるわけない。だが、嫉妬と称して机を叩き割るわけにもいかない。叩き割れば、次に真っ二つになるのはルシファーの頭である。
隠すように紙を押しのけたのは気にくわない。だが邪魔者を排除できたことは嬉しい限りだ。とりあえず、ルシファーは八重歯を見せて笑う。
「で、ケータイは握らないクセに、約束の時間は間に合うんだな。」
「んあ?当たり前だろ。ケータイなんざどうせ十美子が連絡を寄越すだけだからな。」
厄介者を扱うような指使いに、ため息が
漏れる。宙に弧を描いたルシファーのケータイは、音もたてずソファーに埋もれてしまった。
「優ちゃーん。俺様に隠し事とはいい度胸だなー。」
「気持ち悪い呼び方はやめろ。」
肩を掴む手の皮の薄いところを摘んでやる。痛い、なんて悲鳴は聞こえない。気味の悪い呼び方をされた自分の心の方が痛いのだから、と言ってやりたい。
「…ふう。」
自分がやろうとしていたことが、バカなことのように思えてきた。端に追いやった紙を乱暴に引きずり出し、団子状にする。机の傍で忙しそうなゴミ箱への配慮などなく、団子を投げ捨てようとしたはずなのに、手首をガッチリ掴まれた。
「いらねえのか?貰ってやるからよこせ。」
「なっ!オイ!!」
そのまま破れてしまえばいいのに。願い虚しくよれよれなまま開かれた紙に、ベルゼブブは反射的に顔を伏せた。
「……これ、もしかして…」
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい!
あまりに会えないため、発散していたストレスをまさか相手の目に晒すことになろうとは!
何度か首を傾げているルシファーに、袖に皺わ増やすベルゼブブ。あぁ、と声が上がった瞬間、意を決した赤い顔までもが晒された。
「わかったわかった。」
「何がわかったですか、何か!」
「この日、開けててやるから。」
「…え?」
汚い紙を、自らの手帳に挟むルシファーの行動が理解出来ない。ルシファーがわかったとしてもベルゼブブにはわからない。
「ただ、お前の誘いだから。期待を裏切んなよ?」
唇を奪われたことも、しばらくわからなかった。
++++
オン(ry
当初の自分の書きたいものとべーやんが書きたいものが行方不明でした(^p^)
会いたい日をメモしてたべーやん
12.1.24
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