ゆぎお | ナノ



unknown

※現パロ

「起きない...」

遊矢はリビングのソファーで眠るユートの頬をつついた。
ユートが遊矢が独り暮らしをしているアパートに居候を始めたのは、つい最近である。
遊矢とユートは従兄弟。自分達はそこまで似ていない、とは思うが周囲からやたらと間違われる。
そんなユートがいきなりアパートまで押し掛けてきた理由を遊矢は知らない。聞くにしても今更であるし、聞いてはいけないような気になってしまう。そんな中途半端なままに一週間が過ぎてしまった。
遊矢は高校に通っている。 しかしユートは同い年であるに関わらず、学校へ行くそぶりはない。サボっているのか、それとも休学なのか。その事についても聞く勇気は遊矢にはなかった。

そんなユートが、学校から帰るとソファーで眠っていた。呼んでも目の前で手を振っても目覚める素振りはない。 昏々と眠っているが、いつものように眉間にシワがよっている。嫌な夢でも見ているのか、それとも寝ていても何かが彼を苦しめているのか。遊矢の眉が下がった。

「ユート...」

頬に手を滑らせ、耳朶を指で挟む。幼く柔らかい肌触りと思いきや、所々荒れている。 昔から何度か顔合わせはしたが、ユートが笑っているところを見たことがない。いつも年に不相応な真剣な顔でムッツリしていた。一緒に遊んではいたものの、楽しいのかは定かではなかった。
そこで改めて思い知らされた。遊矢は、ユートのことを何も知らないのだと。自身のことを話してほしい。だが強要はしたくはない。矛盾した考えに手に力がこもる。

「俺じゃ...力になれないか...?」

この口づけのように、互いの心まで重なればいいのに。今だ目を覚まさないユートを見つめながら遊矢は悲しみに肩を落とす。 あまりに自然な動作だったために、遊矢自身異端なことだと気がつかなかった。荷物を置くために部屋へと戻る遊矢に、夢を見ながら小さく微笑むユート。
自覚をするのはまだ先である。

++++
【ゆやユト語り】睡眠魔法か睡眠薬かで、なにをしてもしばらく相手が起きる気配がありません。どうするかについて語りましょう。

15.4.28

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