禁断の果実3(R18)
 

自分が浅ましくて、吐き気がする。醜い、汚い。
俺は天使なのに、大事なことを忘れてしまったかのように蹂躙(じゅうりん)し、陵辱(りょうじょく)してしまった。罪深い、穢れた天使。ああ、もう天使ですらなかったか。
神様に逆らったことよりも、彼に嫌われてしまうことの方がなによりも嫌悪された。

『やっ、やめ…カナエ…!やだッ…!』

俺に組み敷かれ、服を脱がせば怯える瞳。信じられないといった表情は不安で揺れていた。
それが心苦しくもあり、一方で力ずくでも手に入れたいと思ってしまった。こんな支配欲が自分の中にあっただなんて、今でも信じられない。

『んぁッ、はァ…いっ、やぁああっ…!』

宝石のようなきらきらとした涙を零し、俺の手の中で果てた彼を見て、純粋に美しいと思った。それは狂おしいほどに。その吐息さえも奪うような口付けに、彼の舌は逃げ惑う。
逃げないで。俺を拒まないで。
そう思いながら、彼の中に己の欲を沈める。苦しそうに喘ぐその姿がたまらなく艶美で、悪魔のように貪りたくなった。

『ぅあっ、くッるし、なか、くるしっ…カ、ナエ…はッぁ』

もっと名前を呼んでほしくて、ずっと俺だけを見てほしくて、固く閉じられた瞼に口付けを落とす。優しく、まるで壊れものを扱うかのように。
そっと開かれた瞳は涙で揺らぎ、熱に浮かされて紅潮した頬、シルクのように滑(なめ)らかなのにしっとりとした吸い付くような肌。すべてが官能的で。

『ひっ、ァ!だめっ…そこだめぇッ、やっぁあああア…!』

だめ、はイイの裏返しだと勝手に判断し、そこばかりを狙って腰を打ち付ける。予想は的中。彼はびくりと痙攣を起こし、再び吐精した。
そして俺自身も彼の中に欲を放ち、我に返ると罪悪感でいっぱいになる。彼の中から溢れ出る自分の白濁に、くらりと目眩を起こしそうになったのを今でもはっきりと覚えている。
そう、そんな彼を見ていられなくて気が動転したのか、俺は彼を一人部屋に残し、天使の姿に戻って自ら牢獄に幽閉されたのだ。

『…カ、ナエ』

虚ろな彼の瞳はなにも、俺の姿さえもきっと映ってはいなかっただろう。だから天使の姿に戻ったのだけれど。
最後に拾ってしまった俺の名を呼ぶ声に後ろ髪が引かれる。それでもその場に居続けることは耐え難いことだったのである。

「…タマキ君、」

ぼそりと零した彼の名に、ヒカル君がぴくりと反応したのを、俺は見逃さなかった。



(知恵をも持たぬ俺が悪かったのか)
(それとも唆(そそのか)した蛇が悪かったのか)



(続く)

 
 
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