七夕の夜/孫さも(小ネタ)
 

七夕の夜/孫さも


「さーさーのーは、さーらさらー」
「…ああ、そういえば今日は七夕か」
「笹の葉を見ていたら歌わなければ、と思ったんだ!」
「なんでだよ」
「でも今日は朝から雨だから天の川が見えないなあ…」
「七夕の日に降る雨は“洒涙雨(さいるいう)”って言って、織姫と彦星が流す涙なんだよ」
「へぇぇ、今年は織姫と彦星は会えないのか…?」
「雨が降った場合はものすごい大量のカササギがどこからともなくやってきて、川に自らの体で橋を作ってくれるから毎年必ず会えるんだって」
「そうなのか!雨が降ったら会えないのかと思ってた!」
「わたしも川の水かさが増して水が浸かるから、会えないのかと思っていたよ」
「でも毎年ちゃんと会えるならよかったな!」
「そうだな、年に一度の再開の日にも会えなかったら惨いよな」
「う、んむ…!」
「左門、」
「えっ、な、なんで口付けするんだ!ていうかなんで脱がすんだ!」
「いいだろう?織姫と彦星にわたしたちがいっぱい愛し合っているところを見せつけよう」
「え、ええっ…!」
「きっと今ごろ織姫と彦星もわたしたちと同じことしてるよ」
「や、ァ…そんな織姫と彦星なんて、いやだっ…!」
「そんなこと言ったって、これが当たり前のことなんだから」
「ひあッ、とっ扉、締めてっ…!」
「雨の音で外まで聞こえないから大丈夫だよ」
「そ、ゆう問題じゃ…ん、ぁあっ…」
「…もう黙って」
「んっ、ふっ…んン、やっ、あッ」
「ふっ、左門はいい子だね」


(わたしたちに織姫と彦星みたいな障害がなくてよかった)(毎日、愛おしいひとに会えないなんて)(考えただけで死んでしまいそうだから)

 
 
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