つたえたい感情、つなげたい愛情/次さも
 

つたえたい感情、つなげたい愛情/次さも


なかなか気持ちが伝わらない。毎日毎日、きみに愛の言葉を捧げているのに、きみはまったく気付いていないんだ。どうしたら理解ってくれるんだろう。こんなにきみを想っているのに、通じないのが歯痒い、もどかしい。
きみは決断力はあるのに色恋沙汰には鈍感で、いつでも元気で明るくて男らしい。でもたまに見せる照れた顔とか、はにかんだ笑顔とかに俺は弱いんだ。

「かわいいな、左門は」
「男にかわいいはぜんっぜん嬉しくないぞ!」
「じゃあかっこいい」
「…とってつけたみたいで、それもいやだ」

なんならいいんだよ、と思いつつやはり左門はかわいいが一番あっている。上背も他の同級生に比べて小柄で、髪の毛はさらさら、頬はふにゃふにゃ。下手したらそこいらの女よりかわいいかも知れない。
口付け、したい。そのさくらんぼのような甘酸っぱそうな唇に、己の唇を押し当てたい。そして華奢な体を抱き締めたい。

「……」
「、三之助?」
「え、あっ、悪ィ」

つい思っていたことを無意識にそのまま実行してしまった。すっぽりと俺の腕の中に収まる左門はさして抵抗しようとはしない。それをいいことにさらに強く抱き締めた。
「ふぎっ!」と漏れた声と苦しそうにする左門。それでも腕は緩めない。離してやるもんか。
左門の耳元に唇を寄せて「好きだ」と毎回恒例の愛の言葉を捧げる。

「三之助、」
「……」
「いっ、一回しか言わないからな!よく聞けよ!」
「ん、」

ずるずると体を捩って左門の顔がどんどん俺の頭に近付いてくる。こんなに至近距離で左門を見るのは寝顔以外、初めてのことで、心臓が早鐘を打ったようにうるさい。
俺がさっきやったことと同じように俺の耳に左門の唇が寄せられる。そして小さな声で、でもはっきり囁かれたその言葉に胸がぎりりと締め付けられた。苦しいのにどこか切なくて甘い。あ、やばい俺、泣きそうだ。

「それ、ほんとか?」
「…ホント」
「やべー、すげえ嬉しいんだけど」
「い、今までずっと言えなくて、ごめん、なっ」

恥ずかしくて言えなかったんだ、と俯く左門。きっとその顔は朱に染まっているのだろう。
ああ愛しい。愛しすぎて頭がおかしくなりそうだ。
その言葉を聞けただけで充分なのだけれど、貪欲な俺は左門の唇に口付けを落とす。ますます朱に染まる頬も耳もかわいくてかわいくてまた一つ二つ口付けを落とした。


(愛してる、からなっ)
(残念だけど俺の方が愛してるよ)
(っ、)

 
 
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