溺れる魚/仙+文×タカ前提仙タカ(R18)
 

※R18指定










私は四年生の斉藤タカ丸と付き合っている。同じく文次郎とタカ丸も付き合っている。つまり同じ人を好いてしまった故に二人でタカ丸を愛しているのだ。
互いに同意の上、抜け駆けは禁止。同じとき同じ分だけ彼を愛すると二人で決めた。私も文次郎も、もちろんタカ丸も満足していると思う。
二人分の愛を受け止めて、いつか壊れてしまうんじゃないかと心配になるときもあるが、私も文次郎も限度というものを理解しているつもりだ。タカ丸に無理はさせられない。それほど大事に思える存在なのだ。
しかし文次郎がいないとき、無性にタカ丸と行為をしたくなるときがたまにある。黙っていればバレないのだろうが、私にはちょっとした加虐趣味があるのだ。体に傷跡などを残してしまえば、私が抜け駆けしたと思うに違いない。だが欲求はそうそう抑えられるものではなかった。

「タカ丸、いいか?」
「んっ、おれは別にいいけど文次郎くんいないよ」
「平気だ」
「大丈夫なの?怒られない?」

我々の事情は知っているため念押しして聞き返すタカ丸のさまが愛らしい。そんなに私たちの仲を気にしていてくれる恋人もそうそういないであろう。大事にされていると実感できる。私はその十倍タカ丸を大事にしているがな。
「安心しろ、無理矢理にでも黙らせる」と、タカ丸を黙らせるために唇を己のもので塞いだ。床に組み敷くと困惑しながらも温和しくなる。頬を染めて視線を逸らす姿に、腹の辺りの加虐心が擽られた。

「どうした、脈が早いぞ」
「仙蔵くんが触るから、あっ」
「感じるのか?」
「っ、分かってるくせに」

ゆるゆると緩やかに胸や太股を撫であげると、びくびく震える腰。舌先で耳を舐めれば可愛い嬌声があがる。帯を解いて装束を脱がすと触り心地のよい素肌が晒された。
撫でる手は止めず下着に手をかけると、布越しでもタカ丸の自身が固く濡れそぼっているのが分かる。「早いな」と呟くと恥ずかしそうに足が閉じられた。
しかしそうはさせない。一気に邪魔な布を剥ぎ取って熱くなったそこをじっと眺める。「あ、あんま見ないでよ」と、またもや閉じようする足の付け根を掴んで胴体に押し付けてやった。

「閉じるな。見えないだろう」
「はっ恥ずかし…」
「そう言う割にはしっかり主張しているようだが」
「んっ、」
「どうしてほしい」

ふっとタカ丸の自身に息を吹きかける。その間も内股を撫でる手は止めずに。「へ、んたいぃ」と呟くタカ丸に、更に虐めてやりたい衝動に駆られる。
ふっ、と笑って「どうやら酷くされたいようだな」と耳元で低く囁くと、びくっと震えたのち、謝罪の言葉を述べきた。もう少し抵抗すれば虐め抜いてやったというのに。
男特有の平な胸に手を滑らせて、わざと自分の自身がタカ丸の後口に当たるよう押し付けた。ひく、と物欲しそうにする入り口を指の腹で撫でるとより一層ひくつく秘部。

「期待したのか?それとも挿入されるときを思い出したか?」
「ちがっ、違くない、けど違う!」
「はっきりしろ」

タカ丸の勃ち上がった自身に指を絡めて数回扱けば、だらだらと密が零れた。待ち侘びていたと言わんばかりに細い腰が揺れる。
しかしタカ丸から上がる声は霞がかっているようにくぐもっていた。それもそのはず、タカ丸は口を覆って強制的に声を抑えていたのだ。どこかの鍛錬バカを除いて、こんな夜更けに起きている者などそうそういない。だから声を出したって誰かに聞かれる心配はないのだ。それに何を今更隠す必要があるという。
タカ丸の手首を掴んで床に縫い付けると、タカ丸は焦ってじたばたと抵抗を始めた。

「お前の声が聞きたい」
「あ、う」
「まだ出すなよ」
「ひっうァっ…えっなに、だめッ、あっ!」

そろそろ吐精が迫ったタカ丸の自身の根本をぎゅっと握って放精を不可能にしたまま先の方を刺激したり、裏筋を擦ったりしてみる。すると精を吐き出さないままタカ丸の腰が大きく震えた。まるで絶頂を迎えたときのように。
びくびく震えるタカ丸を見て放精をせずに達したことを素直に喜びたかった。ここまで開発したのは自分だということが誇らしい。
あとで文次郎にも報告してやろう。抜け駆けしたことも忘れるほど喜ぶはずだ。

「ほう、」
「んっ、あ、ア」
「どうだった?」
「あァ、は、」

未だ何が起こったのか分からないという表情のタカ丸の頬を撫でて、汗で額に張り付いた髪を払い退ける。先走った液体で既に後口は濡れていた。
それでも己の自身を挿入するにはまだ狭すぎるそこに指を宛てがう。指一本などすんなりと飲み込んでしまった。二本目の中指を差し込んで、ぐるぐると掻き回すと粘膜から濡音が響く。快感と苦しさに耐える姿は中々扇状的だ。上方部にある私の親指より一回り大きい痼(しこ)りを掠めると、一際甲高い声がタカ丸の口から零れる。

「ここか」
「だっ、め…も、いれて、仙蔵くんの入れてっ」
「耐えられないのか、変態」

ぎゅうぎゅうと締め付けるそこから指を引き抜いて、張り裂けそうなほど膨張しきった自身を宛てがう。タカ丸を嘲笑ったはいいが自分自身も最早限界に近かった。
奥へ奥へと腰を進めていくそこは相変わらず狭かったが進入は拒まず、むしろ最奥へと誘(いざな)っているようだ。全て入りきったことを確認すると、合図もせずに腰を動かし始める。その行動に驚いたのかタカ丸の腰が逃げるように捩れた。

「いきなっり、うご、かっな、ァあっ」
「ああ悪い。動くぞ」
「おっそ、ンン、やッあ」

律動のせいか上手く喋れていない。やっと紡がれた言葉も揺さぶられて途切れ途切れだ。例え睨んでこようとも、その口調のせいでちっとも怖くない。むしろ上目遣いをしているように見えて可愛いとさえ思ってしまう。
先ほど掠めた痼りを刺激してみると面白い程に中が締まった。その締め付けに己が先に達してしまいそうだ。しかしいっぱいいっぱいになって耐える姿は格好悪く思えて必死に平静を装う。
そのとき、「待って」と掠れて切羽詰まった静止がされた。何だ、と答えても腰止めてやらない。

「とい、れ…いきたっ」
「は?」
「と、いれェ」

色気や情緒もあったものではない。はっきり言ってコイツは空気を読むことができないのか、と呆れて停止してしまった思考と動作を呼び戻し、一旦タカ丸から自身を引き抜く。ここでしろ、と言ったところで頭を左右に思い切り振り、思った以上に拒絶を示される。力ずくでさせてやろうかとも思ったが文次郎と同室の手前、素直に厠に向かわせるほかない。
腰に力が入らないのか、まるで犬や猫のように床を這って移動するさまを見て、面白そうなことを思いついてしまった。タカ丸とは違って腰が砕けていない私は立ち上がってタカ丸の後を追いかける。と言っても、のろのろと速度の上がらないタカ丸にはすぐに追いつき、ましてや追い抜いてしまう。「こんな速度じゃ厠に着くのは朝になってしまうぞ」と急かしてみるも一向に速さは増さない。

「時間切れだ」
「ァあっ!?ン、あ!」

流石の私も焦れてしまい(意外に気が短いのかも知れない)、突き出されているそこに再び己を差し込んでやった。まさか挿入されるとは思ってもみなかったようで先程より一層甲高い、半ば叫喚のような艶のある声が上がる。
最早、腕に力も入らないようだ。腰だけ突き上げるタカ丸の姿が野性的で、それを犯している己がまるで獣になったような感覚に陥る。

「早く進め」
「むっ、り、んんっあ!だめっ!」

がつがつと腰を打ち付けて内壁をぐりぐり擦ると震え出す足。限界が見え始めたところで自身を抜く。
え、とこちらを振り向いたタカ丸の目は、どうして抜いたのかと訴えていた。くつくつと喉の奥で笑えば眉を下げて今にも泣き出してしまいそうな表情を浮かべる。

「厠に行きたいのだろう?あと30秒待ってやる」
「っ、」
「ほら、進め」

ふっと微笑みかけてやると、おずおずとまた前に進み出した。その速度はやはり亀のようだが、確実に厠に近付いてはきている。
しかし時間は時間だ。もう厠は目の前というところで約束の30秒が過ぎた。

「残念、時間だ」
「うァアッ!イヤ…ッだ、め…だめぇっ…」
「ふっ、まだ我慢しておけよ」

再びタカ丸の最奥に自身を挿入すし、後ろから容赦なく突き上げる。最早私も我慢の限界だった。がつがつと腰を打ち付け、悦いところばかりを狙うと、悲鳴のような嬌声があがる。
まるで生まれたての子鹿のように足腰はがくがくと震え、汗ばんだ白いしなやかな項(うなじ)に歯をたてた。

「いッ、あっ…!ンぁあッ…やッ、」
「こちらだって散々焦らされたんだ。少しくらいひどくしたってよかろう」
「だっ、めぇえ、ひっ…あぁあああッ…!」
「っ、く」

中にどろりと吐精すると同時に、びくっと大きく腰が震え、タカ丸も熱い欲を放つ。そして耐えきれなかったのか、次いで白濁色のものとは違う、別のものまで吐き出した。
その光景に自然と口角が釣り上がるのが自分でも分かる。とても愉快で気分がいい。
どさりとタカ丸はその場に臥(ふ)せて、荒い息を整える。したり顔でタカ丸を見ると、その耳は真っ赤に熟れ、紅潮した頬には幾重もの涙の筋。

「ひっ、はッ…あ、ぅ」
「くくっ…おまえは本当に最高だな」

羞恥と快感に喘ぎ鳴くその姿に、少しやりすぎてしまったか、と自負するが笑いは止まらない。汗でじっとりと額に貼り付いた髪の毛を指先でそっと払い、そこに口付けを一つ落とした。
濡れた睫毛がそろりと開かれ、潤んだ瞳で睨まれる。

「ばかばかばかっ!変態!サド!意地悪!」
「ほう、気を飛ばさなかったか…最高の褒め言葉だな」
「っ、ぅ…うぅ…」
下唇を噛み締めて、タカ丸はまためそめそと泣きべそをかき始めた。
そんな意地らしいタカ丸の姿にまた、昇(たか)ぶる思いがしたなど、口が裂けても言えない。



(なにやってんだおまえら)
(ああ、文次郎。今タカ丸がな、)
(わぁああっ!言わないでよ!)
(つーか、抜け駆けすんなよ仙蔵っ!)
(いいから聞け)
(だめっ!聞かないで!)
(はぁ…、いつか教えてやるからその苦無をしまえ)

 
 
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