memoログ | ナノ

 

希望(トロン+遊馬)
 

※一家を救うためトロンと決闘中

「僕達家族を救うと言っていたわりには、手ごたえがないねえ、遊馬」
「うっ……」
戦闘ダメージを食らった遊馬は、痛む体を押さえて起き上がった。今のトロンの攻撃で、せっかく召喚した《希望皇ホープ》と《ガガガマジシャン》の2体を破壊されてしまった。
「君の希望は墓地へ送られ、フィールドはガラ開きだ。そして手札は1枚。さあ、ここからどうやって逆転するつもりだい?」
「ま、まだ俺のライフポイントは1000以上も残ってるんだぜ!これからだ!」
言い返しつつも心の中は焦燥でいっぱいだった。残りの手札は《ドドドウォリアー》1枚だ。レベル6のモンスターだが、攻撃力を500下げることでリリースなしで召喚できる。しかしトロンの場にいるモンスターを破壊できるほどの火力はない。
しかし諦めることはできなかった。
「Vから、お前たちを救ってやってくれって頼まれたんだ……。絶対に諦めるもんか!」
目を閉じて、祈るような気分でデッキに手を伸ばした。瞼の裏にVの微笑が浮かんだ。
(V、力を貸してくれ……!)
指先に力を込めてカードをドローする。
引いたカードは《死者蘇生》だった。遊馬の顔面に喜色が広がりかける。
(いや、駄目だ)
淡い希望はすぐに消え去った。遊馬のライフポイントはまだ1000以下に達していない。これで《ホープ》を召喚しても《ホープレイ》は呼べない。トロンのフィールドには《ホープ》を破壊した高火力モンスターがいるのだ。遊馬の攻撃はトロンへ届かない。
(駄目なのか……?俺じゃ、Vの家族を救ってやれないのかよ?)
諦めるわけにはいかないし、諦めたくなかった。だが現状を打破する一手が思い浮かばず、遊馬の心に絶望の二文字がひたひたと忍び寄る。
『諦めるにはまだ早いぞ。遊馬』
傍らのアストラルの声に顔を上げた。
『トロンは強敵だ。君一人の力で勝つことは難しいかもしれない。だが、思い出すんだ。これまで私たちは力を合わせて窮地を潜り抜けてきた。今回だって、君とVが力をあわせれば、必ず勝利を掴むことができる』
「Vと……?」
遊馬はドローしたばかりのカードを見下ろした。上手く使いこなせれば、戦況をひっくり返せる魔法カードだ。
僕の家族を救ってほしい――WDC決勝へ進むためのハートピースとナンバーズを残して、Vは消えた。そのハートピースを貰って遊馬は今、トロンと対峙している。
「……そうか!」
遊馬は閃いて隣を見上げた。微笑を浮かべたアストラルが頷いてくれる。
トロンへ向き直ると、遊馬はドローしたカードを前に掲げた。
「俺は《死者蘇生》を発動する!」
「へえ。《ホープ》を呼び戻すつもりかい?」
「いや」
遊馬はかぶりを振った。
「これはお前たち家族を救うための決闘だ。だから俺は、Vの力を貸してもらう!」
「……何?」
「俺が墓地から召喚するのは《ガガガマジシャン》だ!」
《希望皇ホープ》と一緒に破壊された《ガガガマジシャン》を墓地から蘇らせる。虚を衝かれたトロンに対し、遊馬は更なる召喚を行った。
「《ドドドウォリアー》を、攻撃力を下げることで手札から召喚する!」
そして蘇らせた《ガガガマジシャン》は1ターンに一度、レベルを1から8までの任意の数値に変更することができるモンスターだ。
「……まさか!」
遊馬の狙いに気付いたトロンが息を呑んだ。
「そうさ。俺はレベル6になった《ガガガマジシャン》と《ドドドウォリアー》でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ……《bU先史遺産アトランタル》!」
Vが遊馬へ残したのはハートピースだけではない。ナンバーズもだ。
ナンバーズがかかったデュエルでは、勝者は敗者のナンバーズを吸収する。Vは紋章の力によって奪われないはずだが、あの日遊馬に自身のナンバーズを託したのは、今この時のためではなかったのか。遊馬にはそんな気がした。
「《アトランタル》は召喚に成功した時、自分の墓地のナンバーズを1体装備できる!俺は《39希望皇ホープ》を選択するぜ!」
そして《アトランタル》の攻撃力は、装備したナンバーズの攻撃力分アップする効果を持っている。
「攻撃力5100だと……!?」
トロンが呻き声を上げた。さすがにこの火力に勝るモンスターは彼のフィールドにない。Vに渡したカードとこのような形であいまみえるとも思ってなかったのだろう。
「これが俺とVの友情の力だ……これが希望だ!」
遊馬は慄くトロンに指を突きつけた。
「トロン!お前を倒して、お前たち家族を絶望の闇から救ってみせるぜ!」



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