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読書タイム(凌ゆま♀)
 

「なー、シャーク。雑誌読むよりデュエルしねえ?」
「……あとでな」
「ちぇっ」
先程から凌牙はデュエルマガジンに夢中になっている。床に雑誌を広げ、あぐらをかいた体勢のまま、食い入るように文字を追っていた。
最初は遊馬も横から一緒に見ていた。冒頭の人気カード特集には凌牙とあれこれ話して盛り上がったが、戦略について論じているページに映った途端、興味が失せた。遊馬は習うよりも慣れる派だ。文字を読むより実際にデュエルをしたほうがずっと覚えが早い。そもそもカードの説明を読むだけでは、その効果が実際のデュエルでどう作用するのか上手く掴めない。
しかし凌牙は読むだけで理解できるらしい。さっきから食い入るようにコラムを読みふけっている。その表情はとても楽しそうだ。
(本当にデュエルが大好きなんだなぁ)
こうやって目を輝かせて雑誌に見入る姿は、同世代の少年にしか見えなかった。大人っぽい物腰の凌牙だから、年相応の顔を見ると安心して心が温かくなる。構ってもらえないのはつまらないけれど、こういう凌牙を眺めるのは好きだった。
しかし放置されるのも暇だったので、少し考えた遊馬は、あぐらをかいた脚にごろりと横になった。
「……遊馬?」
「へへっ。膝枕だぜ」
太腿に後頭部を預けて仰向きになると、すぐ真上に凌牙の顔があった。チラリと遊馬を見下ろした凌牙は、軽く頭を撫でると視線を雑誌に戻した。コラムの続きが気になるのだろう。遊馬も邪魔するつもりはなかった。
(ここからなら凌牙の顔が見える)
膝を貸してもらうだけで、構われている気分になる。近い位置から凌牙を見上げることができるのも良かった。背中から抱きついたり、肩に寄りかかるのだと、くっつくことはできるが顔が見え辛い。せっかく凌牙が楽しそうなのだ。好きな人の幸せそうな表情を見ていると、こちらも嬉しくなる。このまま凌牙を眺めていたかった。



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