外に出たらひんやりとした空気に触れて反射的にぶるりと体が震えた。秋とはいえ、すぐそこまで冬が迫っているのかと思うくらいの寒さ。隣にいる雲雀をちらりと見れば彼はいつものように学ランを肩に羽織り、なおかつその格好には不釣り合いなマフラーを巻いていた。大方風邪を引くだろうと心配した草壁さんや風紀委員の人たちにでも渡されたのかと考えたら、ちょっとおかしくなった。


「寒いね」
「別に。キミが薄着なだけじゃないの」
「そうかも」


自分の格好を見直してみると一応カーディガンとブレザーを着ているが、雲雀のようにマフラーを巻くなど防寒対策はしてない。そのせいなのか、吐き出した息がいやに白く見えた。


「……はくしゅんっ」
「風邪?うつさないでよ」
「そこは私を心配しなよ」
「大丈夫なの」
「言うのが遅い」


雲雀には人を思いやる気持ちというものがないのか。……いや、あったらあったで気味悪いや。人をいたわる雲雀を想像して変な気分になったところに、ふわりとしたものが首にあたってぐるぐる巻きにされた。
あ、前言撤回。


「雲雀」
「なに」
「マフラー巻くの下手」
「……ひきはがすよ」
「うそ。ありがとう」
「別に、そんなの僕には必要ないから」


嘘ばっか。鼻赤くなってんの指摘してやろうかと思ったけど雲雀の貴重な優しさを無下にするのは悪いのであえて黙っていた。ふいに手と手が触れた瞬間、雲雀のは氷みたいに冷たかった。驚いてとっさにつかんだら雲雀は一瞬目を丸くさせていたけど、すぐに何事もなかったようにもとの表情に戻って手を握り返してきた。たったそれだけのこと。寒いはずなのに、胸の奥はやけにぎゅうっとして締め付けられたように熱かった。



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