Sing Sing Sing
木金管オーケストラの心地良い旋律に心をふるわせながら瞼のうらに星を見る。つらつらと脳水をおよぐ音はあっという間にぼくを頭からぺろりとたいらげてしまった。ああノボリ、きみのようだなあなんて、柄にもなく思ったのさ。ああノボリ、「きみにあいたいなあ」。それだけをぽつりと零したってなにもならないことなんか、知ってるけどさ。


ピンク・レモネードさん
「たまには、こんな夜も、わるくないですねぇ」緩やかに伸ばした語尾につられてそっちに目を向けるときれいに整えられた髪を僅かに乱してテーブルに突っ伏したノボリを見た。耳まで赤いし当然アルコールくさい。はあとため息をついて。「クダリ、注いでくださいまし」「うるさいよ酔っ払い」「わたくしのいうことが聞けないのですか」「はいはい」。


morphine
細い腰を掴んでじわじわと埋めて、ひとのからだに刻む顕示に酔いしれる。ああきもちいい、きもちいい、きみのなかはなんだってこんなに調子がいいのだろう。たまらない。やめてくださいまし、と涙声でそう告げられたってやめるわけはないし多分きみもやめられてもこまるでしょう。だってきみのは乳首だって性器だってもうビンビンじゃないか。


春は死にました
ガン、と頭を殴られたような心地に見舞われた。いまなんと言ったのだろうと思わずにいられないぼくは情けなく帽子を被ろうとしたその瞬間から体を動かせずにいる。「え、と、いまなんて、言ったの」「で、ですから、わたくしは、あなたのことが…い、愛おしくおもえるのですよっ」吐き捨てるように言われたって、ねえぼくはどうすればいいのさ。


ハロー・プランク・スター
きらきらとひかる涙が飴玉のようだなとおもった。茫然と映画をみているような感覚で眺めているときりっと目つきを鋭くさせてきみはぼくを睨んだ。にらんだ。「死んだら、どうするつもりだったのですか」。ごめんねなかないでよ、だってぼくはただきみに笑ってほしかっただけなのに。(ああでも、きみは泣いた顔だってきれいなんだ、困ったなあ)








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