MUSICIAN | ナノ





A・C・P-アニマルコスプレパーティー




瑠禾が佐藤さんに渡したのは、ポケットから取り出した飴



「飴やん♪おおきに瑠禾。おっさん疲れとるから糖分とらな…瑠禾?なんで離さへんのや?」



佐藤さんと瑠禾が飴の包み紙の両端を持ったまま睨み合い…



『瑠禾…?』



眉間にシワを寄せて、厳しい表情の瑠禾…



「…アライグマは洗って食べるから、堅司失格!!」



そっか…瑠禾は、佐藤さんがそのまま口に入れると思って…



「飴を洗うて…。俺は芸人の○スガか!…マネ事でええよな?」

「…ん♪」



佐藤さんの行動に瑠禾が満面の笑み…

フフ♪瑠禾ってかわいい♪



「…美花の方が可愛いから…」

『え?』



もしかして…また私の心の声を読まれた?

すごく動揺してしまったけど、それを隠す様に瑠禾にバンダナを巻いてあげた



「似合う?」



そう言って招き猫のポーズをとる瑠禾…



『うん♪すっごく似合うよ』

「あああ、ルカちんずるい!俺も美花ちゃんの小物、身につけたい!!」



少し離れた所でドリンクを飲んでいた櫂が、目ざとく見つけて近寄って来た

瑠禾の表情がまた変わる



「櫂、あっち行って…」

「ルカち〜ん。そろそろ美花ちゃんの相手、俺と交代して?」

「やだ!櫂も失格…」

「…何?ソレ…」



あ…雅楽もこっちに来た…

やな予感…



「何揉めてんだよ…。明日にでもトロイメライ不仲説出るぞ!」

「そんなの勝手に出させればいいじゃん!」

「音楽で勝負!マスコミなんて関係ない!!」

「んだよ…」



雅楽の表情まで曇っちゃった…



「何をしてるんだ、オマエたちいい加減にしないか!」



険しい表情の龍が加わる



「あああ〜、始まった…」



佐藤さんは頭を抱えてしまい、注目してる人たちにペコペコ頭を下げている



「ホントにお前らは賑やかだよな」

「うん♪注目浴びるの好きみたい…」



七蔵さんと新山さんまで加わる…

もう、どうもできないよ…

注目浴びて恥ずかしい…

私は皆に気付かれないように、その場をコソコソと離れた

皆を気にして前を見てなかったから…

誰かにぶつかってしまった…



『あ…すみません…』



顔を上げると、目の前にいたのは七瀬社長で…



「いや、ぶつかってコブなんてできてないか?」

『大丈夫です!…あ、社長もコスプレしてるんですね…』



まぁ、当たり前か…

黒っぽい大きな耳、黒い大きな尻尾

イヌ…かな?



「美花は…ウサギか?」

『はい!社長は…イヌですか?』

「まぁ、イヌみたいなもんか…オオカミだと」



なるほど!



『社長のイメージに合いますね♪』

「そうか?」



なんだか照れている社長も新鮮…

ん?

社長の顔が近付いてきてるのって…

気のせいじゃ…ないよね…?

ドキドキと心臓の動きが早まり、音まで大きくなっている…



「オオカミとウサギか…。フッ…オオカミさんはウサギさんを襲ってもいいのかな?」

『え…?』



私の心臓は跳ね上がり体が熱くなって、自分でも顔が赤くなってゆくのを感じていた

その時、向こうにいたはずのメンバーたちが気付けばすぐ側にいて、今にも襲わんばかりの勢いで私と社長の間に割り込んできた

いつの間に…?



「社長、合格!カッコイイ…」

「瑠禾、お前の基準を教えてくれ!!」

「ルカちん酷い!!」

「……………」



皆が口々に騒いでいるのを止めたのは…



「ちょっと、アンタたち煩い!!」



振り向くと、仁王立ちしたカレンさんが立っていた

黒くて長い耳、黒いファーを所々に使った服…

これって…



「あ、美花の黒バージョン…」



私は…白いウサギ

カレンさんは黒ウサギ…?



『…かわいい…』



あまりにも似合っていて、私の口から漏れた言葉にカレンさんの顔がみるみる赤くなっていく



「ちょ、女の子に言われても…お世辞にしか聞こえな〜い…」



そう言うと、カレンさんは社長に近寄り



「お兄ちゃん!私にも美花ちゃんに言った事言える?…セクハラだからね!!」



ビシッと社長を指差しそう言いきったカレンさんは本当にかっこよくて…



「雅楽!」

「な、なんだよ…」



あ…雅楽の顔…赤い…



「惚れなおした?」

「ばっ!惚れなおすも何も、惚れてねぇし!!」

『雅楽!!』

「ガックン…サイテー」

「失格!失格、失格、失格!!」

「こんな公の場所で言う事か…」



私を含めて雅楽を攻め立てる

龍の言う通り、大声で言う事じゃないよね…



「雅楽のバカ!!」

「わ…悪かったよ、カレン…」



その時、瑠禾が社長に歩み寄る



「社長、さっきの訂正…」

「…?何だ…?」

「社長、黒ウサギに負けたから…失格!」



瑠禾の言葉に社長が大笑いする



「そうか、失格か!ははは」



笑っている社長を見て、瑠禾も嬉しそう…

秘書の方がやって来て、社長はこの場を後にする



『ねぇ、瑠禾?…みんなに失格って言ってたけど、私は…?』

「美花?…最初から合格!イメージぴったり♪」

『…そ…っか…』



なんか、恥ずかしいかも…



「あ、龍も合格!俺の鈴つけて完璧」

『フフ♪瑠禾の採点は厳しいな…』



この後も瑠禾は知り合いに会う度、失格を言い続ける…

でも、皆楽しそう♪

私も楽しい♪

カレンさんと写真撮ったり、皆で写真撮ったり…

コスプレ…はまってしまうかも…

この時のコスプレパーティーが次のアルバムジャケットに大きな影響を与える事に…

まだ、誰も気づいてなかった…














-end-
※シンペーと矢内さん出なかった…orz

2010.02.23

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