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……………
「ったく。やっぱり『ジム』は『ジム』だな。あの小娘の言う通り、肝心な所でお前はやっぱり『ジム』だ」
「お願いだから何度も俺の名前を連呼しないでくれ」
ナイジェルに冷却シートを貼ってもらってはいるが、相変わらず頬の赤みは治まっていない。
というか、顔はともかく股にまで貼ろうとしないでくれ。
別にそんな所まで火照ってない。
「あーもうダメだ。明日から絶対顔を合わせる度モヤモヤだよ…どうすれば良いんだ…」
別にフラれた訳でもないのに落ち込んでいるジムは、テーブルに何度も頬杖をついては伏せの繰り返し。
「心配しなくても大丈夫よ。ビッキーちゃんはイケメンとのやり取り以外なら3時間も覚えてられないから」
「フォローの仕方が傷つくわ」
サラの慰めも今の彼には逆効果。
そこでリッキーが席を立った。
「安心してください、ジム。貴方の気持ちは十分ビッキーに伝わってましたよ」
「またそんな根拠のない事を。リッキー、気持ちだけで良いよ。ありがとな…」
「根拠ならありますけど」
「…は?」
彼は立っているリッキーの顔を見上げる。
優しく笑い、そして口を開いた。
「覚えてますか?彼女あの時、一回だけ
貴方の名前、ちゃんと呼んだじゃないですか」
fin
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