「……………。」

「…あれ?」


怒りのあまり周りが見えなくなっていたジムだが、きちんと視界を確認してみるとある事に気がつく。

先程までビッキーの隣に座って光輝いていたボビーの姿が見当たらないのだ。



「…ビッ……きぃ……ちゃ…」

ボビーは3人の真下で煙を出しながら倒れていた。


作戦B【ただしイケメンに限る】



「うわ!ボ、ボビー!大丈夫か!?」

心配の台詞が口からは出るものの、足は後ろに下がってしまったジムにナイジェル。そしてリッキー。

その瞬間、彼女はリッキーの存在に気づき、黄色い声を上げた。


「あ、リッキーじゃなーい!何してるの?もしかして私に会いに来てくれたの!?嬉しい!」

「いや…その、そうじゃなくて」


リッキーばかりに気を取られていた彼女は、ようやく残りふたりの存在にも気づいた。


「あ。ナイジェルとアドニスじゃない。何してんの?覗き?」

「ジムだ!なんだその反応の差は」


ひとり喚いているジムを無視し、ナイジェルが彼女に問いかける。


「お前何なの?さっきまでちゃっかりボビー君に目がハートマークになって釘付けだったじゃん」

「え?何?今の本気だと思ってたの?」

「へ?」

「あんなの芝居よ、シ・バ・イ!何?あのキモい顔と台詞!超ウケる!」


要するに、彼は小悪魔娘の餌食になってしまったらしい。

悪そうに笑うビッキーを尻目に、リッキーとナイジェルは哀れむ目でボビーの残骸を見つめた。


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