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「良いわよ」

「え、何が?」

「今夜はここで匿ってやっても良いって事」

「本当ですか!?」

先程まで腰を曲げてうなだれていたリッキーは、まるで生気を取り戻したように強く立ち上がった。

この瞬間に目線の高さは逆転。


「あんなのに捕まったら、いくつ命があっても足りなそうだし。おまけに貴方ひ弱そうだからねぇ。今夜だけよ?」

「あ、ありがとうございます!……あ」


ホッと胸を撫で下ろし深く頭を下げた所で、ふとクスクス笑っている彼女の顔を見る。


「…………。」

「どうしたの?」

「あ……いや、その…」


なんとなく彼の顔が赤い。


「言っとくけど寝る場所は別々だからね。新しく布団敷いてあげるから、そこに寝なさい」

「そうですか…」


少ししょんぼりとしたリッキーに、なんでもっと喜ばないの?と彼女は訊いた。


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