17

……………

「あー、よしよし。怖かっただろ?」

ジムはリッキーを救出後、慌ててタオルと着替えを脱衣所から持ってきた。

体を拭いてやってもリッキーの顔は憔悴しきっていて、服も着せてやって髪も乾かしてやって解かしてあげて…

それでもジムが部屋に戻ろうとすると「行かないで」と袖を掴んで離さない。


ようやく彼が自室に戻り始めたのは事故から1時間後。

「疲れたから寝ます」と頭を下げ、ふらついた状態で立ち上がった。

白眼で正気が感じられない彼は、ブツブツと知らない国の言葉を話しながら部屋へ戻って行く。


かなりダメージは大きいらしい。ボビエパワー恐るべしだ、とジムも体を震わせた。








もう…なんなんだ今日は。

自分の気が休まる時間が1秒もない。

ご飯もまともに食べられずお風呂にも入れず。

驚きと恐怖で疲れ切っただけだ。足取りも重い。

ようやく部屋の前まで辿り着くと、リッキーはだるそうにドアノブに手をかけた。


「………。」


その時だ。

彼の脳裏にボビエの顔がよぎる。


(いや、アイツはそんじょそこらの人間とは訳が違う!
間違いない…奴は俺の部屋でもきっと待ち伏せして、また襲う隙を窺っているはずだ)

そう予知した彼は、恐る恐るノブから手を離す。

ゆっくりとドアに耳を押し当てて中の様子を確認してみた。


ボビエ「まだかしら、チョリー!もうハンパなく待ちくたびれちゃった感じ系!」

ビッキー「気安くチョリなんて呼ばないでくれる!?大体チョリって何?」

ボビエ「チョリッキーって事よぉ!可愛くない!?可愛くなくなくない!?」

ビッキー「何それ、マジで超可愛くなーい!!?」


[ 50/195 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]