サーッとリッキーの顔色が悪くなる。

「ん?リッキー、どうし…」

同じものを見たビッキーもつられて同じ顔色に変色。


「ちょっとぉ〜!何、コッチ見てんのよぉ?」

そこには長い馬の尻尾を取り付けたようなポニーテールの女性が立っていて
その顔にふたりは色んな意味で言葉を失った。

何カップか計りきれない程の、はちきれんばかりの胸がキャミソールから溢れ出して、そして極めつけの下着が見えそうな程の短パン。

濃いメイクに、今時こんな高い底の靴を履いている人がいるのかと驚く程の厚底サンダル。

男がムラムラしそうな体型、服装のギャルなのに…

何故か顔がボビーなのだ。


「うわキショッ!何者よ!アンタ!?」

思わず声を漏らしたビッキーに、ギャルボビーがキレ出す。


「何〜?アンタ今、マジでキショって言ったわね!?超ムカツクって言うか〜!マジ有り得ない感じ!
つか、マジでアンタの方がキショいっつ〜の!!マジで、アンタの方が誰よ!?」


何度「マジ」を言うのか。

リッキーがきょとんとしている間に、我らがギャルアイドルのビッキーも対抗意識を燃やして反撃にかかった。

「何ですってぇ!?超ムカつく!私を知らないなんて、前代未聞、史上最高、歴代No.1ムカつく!」

「ふたりとも落ち着いてください…」


いがみ合っているビッキーとその何者かを引き離し、仲裁に入るリッキー。

腕にたくさん力を込めると、ようやくふたりの間に距離が出来た。


「ちょ!何すんのよ〜!?」

「ボビー…貴方そういう趣味だったんですか?
いや、そういう事に偏見を持っているわけではありません。
ある程度なら俺だって受け入れる覚悟はあります。だけどそんな変わり果てた姿になったとなると話は…」

「つか、アンタが一番失礼じゃね!?」

フンッ!と鼻息を荒く噴くと白い蒸気が噴射する。


「全く何なの〜、わけわかんないっていうかー!つか、ついでに言っておくけど…アタシは『ボビー』じゃなくて『ボビエ』!間違えないでくれる?」


リッキーの説得にも逆ギレするギャルボビー、以降ボビエ。

ボビエは分厚い唇を尖らせ、靴を鳴らしてズカズカと歩き始めた。

「もう!マジで有り得ない感じ系!ボビエ、アンタらみたいに暇じゃないんでー!退いて!マジで邪魔なんですけどー!!」


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