……………

その日の夜。

ここは今日ナイジェルが問題の雑誌を読んでいた休憩室だ。

今はウィンディランメンバーの4人が集まって椅子に腰掛けている。

ジムが突然、内密にビッキーとボビーとリッキーを呼び出したのだ。

姿が見当らないのはナイジェルとサラのふたりだけ。


「それで…どうしたんですか?突然、緊急会議って」


リッキーの質問に腕を組んだジム。


「あぁ。お前達にここに集まってもらったのは他でもない。ナイジェルの事だ」

「……っ」


全員の表情が微かに変わる。

「皆も知ってると思うが、今日のアイツは明らかにおかしかった。若者向けの雑誌を何冊も読んだり、普段は滅多に行かない美容室なんかに足を運んだり…
間違いない。アイツは若返りをしようとしている!」


顔を見合わせる呼び出された3人。

それぞれ決して良い表情ではない。


「確かにそうかもしれないけど…ナイジェルに限って若返りなんて無理だよ!あの人にはもう『渋い』ってイメージが定着しちゃってるじゃん」

「ビッキーちゃんの言う通りさ!ナイジェル君から『オッサン要素』を抜いたら一体何が残ると言うんだい!?垢とタバコのカスしか残らないよ!」


ビッキーと隣のボビーの話を聞き、ジムは組んでいた腕を解いて膝の上に置いた。

「まぁ、お前らの思ってる事を俺だって最初は考えたさ。
だがな、ナイジェルがもしそれを望んでいるんなら…そうなりたいと心の底から思ってるんなら…やっぱり仲間として応援してやるのが筋なんじゃないか?」

「……っ…」

「ナイジェルは普段こそダメな感じを見せながら、ちゃんと年長者として俺達を支え続けてきてくれたんだ。だからたまには、俺達から恩返ししなくちゃいけないだろ」


その言葉に3人はすっかり黙り込む。

どうやら彼の言葉に心を打たれたのか、考え方が変わったらしい。


「そうだね。まぁ、向いてなかったらまた今の傾向に戻れば良いんだし!一回イメチェンさせてみるのも面白いかも!」

「わかりました。ジムがそこまで言うなら俺も応援します!」

「よっしゃぁ!気合い入れてナイジェル君を僕のようなイケメンにチェンジさせちゃうぞぉ!」

「そのイメチェンは明らかに失敗してるな」


3人の嬉しい返事に満足そうに頷く。

そうと決まれば早速行動開始だ。

ジムは自分のポケットから携帯電話を取り出し、どこかへ連絡を取り始めた。


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