17

……………


「リッキィィィイ!!」


グチュンッ!!


もはや人間の潰される効果音ではない。

ロケットミサイルの如く飛んできたビッキーに、その男はぺしゃんこに押し潰される。

部屋中にただ事ではない轟音が響いて、軽く地震が起こった。


「ちょっと、何遊んでるのよ。もうすぐレースが始まるわよ」

バイク器具の荷物を運んでいたサラは、そんなふたりを見て通り過ぎざまに叱る。


「サラ…これが遊んでいるように見えますか…?どこからどう見ても襲われてるでしょう…見てるなら助けてください…」

「リッキー大好きぃ★」


ゴキゴキゴキッ!!!!


「痛い!痛い痛い痛い!」

「何度言ったらわかるの?遊んでばかりいたら、ふたりとも晩ご飯抜きにするわよ」

「だから遊んでなんか…!」


ボビー「ビッキーちゃんのピィイインチッ!リッキー、オイコラテメー!ビッキーちゃんのS心に火をつけさせようと悪巧みをしているようだが、お前の思い通りにはさセントバーナード!」


ガッシャァンッ!!


そんな非日常ないつもの日常を見ながら、ジムの隣に立っていたナイジェルが呟いた。


「おい、ジム。なんかビッキーちゃん…いつもと同じじゃね?」

「そうだな」

「そうだなって。あの後何もなかったわけねぇだろ。部屋からすんげー泣き声聞こえてきたし」

「さぁな」

「あのなぁ…」

「まぁいいじゃん。アイツにはあのキャラクターが一番合ってるんだからな」


何故か珍しく余裕綽々の顔。

ナイジェルの納得いかない表情を横目に、ジムはリッキーを締め殺す寸前のビッキーの姿を笑って眺めていた。


fin


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