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「おせーな、アイツ」
ナイジェルは足のつま先をリズム良く地面にぶつけながら呟いた。
言われた通り、入り口ゲートでビッキーを待っている4人。
電話を切ってから既に15分は経過しているが彼女はまだ姿を現さない。
「えぇ。ジム達に気づいてなきゃいいけど」
「あっ、来ましたよ」
リッキーが手を向けた先には、笑顔で走ってくるビッキーの姿が。
「遅くなってごめーん!道に迷っちゃって!結構ここって広いんだね!」
見た感じはいつもと同じ。騒がしい小娘だ。
彼女は何事もなかったかのようにリッキーに抱きついた。
「ビッキー、ジムは見つかった?」
「ぜーんぜん!全く、どこ行っちゃったんだろうね!」
可愛らしい笑顔を見せる彼女。
本当の事を言っているかどうかは…正直微妙だとそれぞれは感じた。
「そう」
「よし…帰るぞ」
ナイジェルはジム達がやってきて鉢合わせするのを避けたかったのか、彼女の腕を掴んでリッキーから無理やり引き剥がす。
「ちょっ…痛い!何すんのよ!」
「俺、人ごみは嫌いだし疲れたから。とっとと行くぞ」
そのままズルズルと引っ張る彼に続いて、他の3人も歩き出した。
会話のない彼ら。
当然だ。
この人達だってあの光景を見ていたのだから。
強く引かれる腕が…痛くて切ない。
彼女にはナイジェルの不器用な優しさが伝わって
なんだか涙が出そうになったがグッと堪えた。
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