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こうして用意された競技全てが終了。

運動会のプログラムが輝かしい表彰式へと移った。





タ〜ラ〜タラ〜ラ〜タララララ〜ラ〜ラ〜♪





と、お馴染みの表彰ソングがトランペットで演奏されている。


「えー…それではこれより、優勝したジム選手に豪華商品が送られます!」


アナウンサーの「どうぞ」の言葉で、彼は表彰台に登った。

惜しくも優勝を逃した他の5人は、台の下に並んで無念の拍手を送っている。


「んんもう!あんなに頑張ったのに悔しい〜!」

「まぁ仕方ないじゃない。今回はあの人の地味さが生かされたって事でしょう」


可愛い声で怒っているビッキーに、冷めた声のサラが頭を撫でた。


「それにしても、豪華商品って一体何なんでしょうか」

「ビッキーちゃん1年分なんじゃないのかい?」

「なんだ『ビッキー1年分』って。普通に気持ちわりーよ」


同じく敗者となったリッキー・ボビー・ナイジェルも、小声で話をしながら表彰される地味男の姿を見ている。


「では、こちらが優勝賞金10万円になります!」

「ありがとうございます!」


解説員兼主催会長の三浦さんより、手渡しで賞金10万円入りの封筒が渡された。

その瞬間、会場中が大きな拍手に包まれる。


「そしてもうひとつ!」

「え、まだあるんですか!?やった、もうこんな良い事な…」


「1年分の、輪ゴムになります!!」

「いで………。」


彼の言葉が途中から完全に切れ、瞳からは生気が消えた。


突然静かになる会場。

聞こえたのは、賞金入り封筒がジムの足元に落ちる音のみだった。


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