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澄み渡る青空の下、先程と似たような形で6人は一気にスタート。
ラストの競技とあってか、観客の盛り上がりも最高潮だ。
「さぁ、豪華商品をかけた戦いの火蓋が切って落とされました!ちなみにこの競技に勝利しますと、ポイント1000点が入って一気に逆転が可能です!どんな手を使ってでも勝ち抜いてください!」
「「じゃ、今までの競技は一体何だったんだ!」」
テレビの対戦ルールにありがちな展開。
アナウンサーは走る6人の姿を身を乗り出して確認した。
「現在、トップはボビー選手!他選手、追い上げなるか!」
「オラァ!どけどけテメェら!天下のボビー様のお通りでぃ!」
誰もいないのに撤退命令を出し、小さな体をいっぱいに使ってボビーは風のようにコースを駆け抜けてゆく。
さすが人間離れの能力を持った宇宙人だ。
そんな先頭を走る彼の姿を見て、ビッキーがニヤリと笑った。
今までにない悪い顔。どうやらよからぬ事を思いついたらしい。
「ボビー!」
「…んっ?」
名前を呼ばれて振り返ると、後ろには今にも壊れてしまいそうな切なげな表情で自分を見つめるビッキーがいた。
「私ッ…ボビーと一緒じゃなきゃ嫌!ボビーと一緒じゃなきゃ…走れない…!お願い!私を置いていかないで!!」
「……ッ売rξ†♪〒◇i求I!!」
その言葉を聞いた瞬間、ボビーの頭から火山が大噴火。
一気に向きを180度回転し、両腕を大きく広げて歓迎体勢に入った。
「ビッキーちゃん!僕が悪かった、許しておくれ!大丈夫!もう二度と君を置いていったりなんかしない!さぁ!安心して僕の胸に飛び込んで…」
「ごめんなさーい♪」
「……ッ…」
我々の小悪魔女子がもちろん…ましてやボビーに対して、そんな事を考えているわけがない。
彼女は強く地面を蹴り、立っている彼の頭上を綺麗なジャンプで飛び越えた。
「って…あれ?ビッキーちゃん?なん…ムゴッ!」
そこで響いた鈍い音。
コースのど真ん中で両手を広げて立ち尽くしていたボビーに、スピードを抑えられなかったジムが激突してしまったのだ。
「イッテェ!お前なんでこんな所に突っ立ってんだよ!」
「僕はビッキーちゃんに飛び込んでもらう為に、こうして受け入れポーズを取っていたんだ!こんなムサい男を呼んだ覚えはない!」
「なんだとテメ…ボビーの分際で!」
……………
「さぁ、ジム選手とボビー選手がメンチを切り合い始めた中、ビッキー選手が首位のまま2周目に突入しました!可愛い顔してなんたる小悪魔!このまま彼女がゴールをしてしまうのでしょうか!」
アナウンサーの言葉を聞いて、サラの眉間にシワが寄った。
「クッ。さすがにいつもリッキーを全力で追いかけてるだけあって、すばしっこさは並みじゃないわね」
「どうしましょう!このままじゃ追いつけないですよ!」
「アンタいつもアレから逃げ回ってるんでしょ!?なんとか出来ないの?」
「残念ながら俺はあの突進から逃げ切れた事なんて、今まで一度もありません!」
「ッ…?」
後ろのリッキーとサラの会話を聞きながら2位で走っていたナイジェルは、前を走るビッキーの姿を見て目を細めた。
何かに気がついたのか…
口に咥えていたタバコを手に取り、怪しい笑みを浮かべた。
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