21
……………
「はぁ。まさか猿に携帯を取られてたなんて…」
次の日の朝、メインルームでリッキーは自分の携帯電話を見つめてため息をついた。
隣のソファーで朝食のカレーパンをもさもさ食べているナイジェルが笑っている。
「お前トロそうだもんな。猿以下になったんじゃねーの?お前の運動能力」
「そうかもですね…」
「肯定すんのか(笑)」
機械自体には傷ひとつ付いていないし、開いてみても電源は入って、これといって壊された形跡も見当たらない。
リッキーはとりあえずホッとしたのか、力の抜けたように窓に寄りかかった。
「ま、大した騒ぎにもならなくて良かったじゃねーか。今度から携帯の置き忘れとチンパンジーには注意しろよ」
食べ終わったナイジェルが、袋をゴミ箱にポイッと雑に捨てて部屋を出ようとしたが…
「この画像…」
リッキーの小さな声にふと振り返った。
「なんだ?お前、変な画像でも入れっぱなしだったのか?」
タバコの箱を手に握り戻ってきた顔を、リッキーは引き気味の目で見ている。
「な…なんですか、これ」
「あ?」
携帯のギャラリーに一枚だけ増えていた見知らぬ画像があった。
それは紛れもなく
女装したナイジェルにジムが熱いキスをしている写真。
「………。」
「………。」
ふたりの間に重苦しい沈黙が流れた。
fin
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