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……………
「ああああああああああ!!!!」
こちらは雄叫びを上げながら長い廊下を走っているジムとナイジェル。
後ろにはやはり大勢の警備員だ。
どうやら彼等もまた謎のスイッチを馬鹿みたいに押してしまったらしい。
「なんなんだよ!警備員入りすぎだろうが!」
「オイ、ナイジェル!銃持ってないのか!?前みたいにそれで追い払って…」
「そんな四六時中銃を携帯してるわけねぇだろーが!死ね!」
「お前の方が死ね!」
「いや、お前の方が果てしなく死ね!」
「ウワッ!」
子どものような口ゲンカを繰り広げている最中、ジムが何かに躓いて派手に転んでしまった。
「何やってんだ、お前は!」
「イテテテ…」
呑気な声を漏らし、頭を抑えて起き上がったジム。
それにつられて止まったナイジェルは、またもや歯を尖らせてブチギレモードだ。
「だって仕方ないだろ。何かがここに落ち…誰だ?この人…」
ジムが躓いてしまったのは、廊下のど真ん中で倒れているひとりの警備員。
誰にやられたのか、顔にくっきり足跡が残っており、その場で気絶して完全に伸びてしまっている。
何故か手には鉄パイプがしっかりと握られていた。
「可哀想に。誰にやられたんだろうな」
「んな呑気な事言ってる場合じゃねーだろーが!うっわ、来た!ほら急げ!」
ナイジェルがジムの腕を掴み、ふたりはまた慌てて走り出す。
振り返ると、明らかに追ってきている警備員の数が増えていた。
「おいおい!なんか人数増えてっぞ!どーすんだよ!」
「とりあえず、どうにかして逃げ切るしかない!」
「だからどうやってだ!?」
「うるさいな!今考えてんだろ!」
ジムが顔を上げると、その光景が目に入った。
「オイ、あそこはなんだ!?」
彼らの行く手は行き止まりになっており、その突き当たりには大きな扉があった。
ふたりは為す術なくその扉を抜けたが、その部屋の中にも新しい扉は存在しなかった。
もう逃げ道はない。
「畜生!出られる所ないじゃないか!おいナイジェル、とりあえず鍵かけろ!」
「ジム、この扉…鍵付いてねーぞ!」
「ハァッ!?」
彼の元に駆け寄ったが、この部屋の扉は誰でも出入り出来る押引タイプのものだった。
これでは施錠出来ない。
「仕方ない!力づくで抑えるぞ!」
「無理に決まってんだろ?相手何人いたと思ってんだ!?軽く10人はいたぞ!」
「クッソ!」
まさに絶対絶命。
逃げられる道もなく完全に部屋に閉じ込められてしまい、その扉には鍵も付いていない。
警備員達はすぐにこの部屋へ入ってくるはずだ。
「どうすれば…ん?」
考えていたジムはふと部屋の中を見渡した。
よく見るとこの部屋にはたくさんの華やかな洋服や靴、変装用具が置いてある。
どうやら衣装部屋のようだ。
「………。」
何かを考えているのか…突然全く話さなくなる。
「オイ、ジム!そろそろ奴ら来るぞ!?どーすんだ!?」
「………。」
「聞いてん…」
「ああ!もう仕方ない!」
ジムは最後の手段に出た。
扉を抑えているナイジェルの腕を掴み、突然部屋の奥へと走り出す。
走っている最中に、適当に女物のカツラとドレスを引き抜いて…
ガッ!!
「痛ッ!」
そのまま彼を壁に強く押し付けた。
そして手に持っているカツラを差し出して…
「被れ!」
「…はぁ!?」
「だから被れっつってんだよ!!」
「何しやがんだ、テメッ…!」
無理やりナイジェルの頭にカールがかった茶髪女性のカツラを乗せ、ドレスを体に押し付けた瞬間…
「どこだ、不審者ぁ!」
ドアを突き破り、勢いよく入ってきた大勢の警備員。
だったが…
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