私の名前はユウリ。イッシュのカノコタウン出身で、数ヶ月前に殿堂入りを果たしたばかり。
その長い長い旅の途中で、私はひとりの電波系青年と出会った。
ライトストーンにダークストーン、英雄が何とかで私はプラズマ団と名乗る連中に追いかけまわされ…
それはそれは大変な旅だった。
けれどそんな旅も無事に終わり、ようやく帰って来れた故郷に着いて間もなく…
あの電波系少年が、また私の前に現れた。
「とりあえず何があったかは分かったわ、でもだからってそれが一緒に住む理由にはならないと思うんだけど」
そう言い放って未だ私の部屋に居座り続ける青年を見つめた。
「ねーユウリこのパチリスどうしたの?」
「聞けよ!!」
青年…もといNは私がこの間シンオウに行った時ゲットしたパチリスを撫でていた。話を聞いていなかったことには少し苛立つけど、小さくて可愛いパチリスを撫でているNはなんだか可笑しくて、でも可愛かった。
「…そのパチリスはこの間ヒカリちゃんにゲットしてもらったのよ、可愛いでしょ?」
質問には答えないと話が進まなそうだったのでとりあえずは答えてあげた。
「うん、可愛い。でもユウリの方が可愛いよ」
「!」
な…Nってば何でそんなこと普通に言えるのよ。別に赤くなんかなってないんだからね!
「うっ…五月蝿いわね!とにかく、N!」
びしっと指さすとNはなんだい?と微笑んだ。
「いくらあんたのお城が壊れたからって、私は認めないからね!野宿でもしてなさい!フンッ」
今度こそ、はっきり言い切ってやった。そうよ…あんだけ人を困らせておいて、…悲しませておいて、今更一緒に住ませてくれだなんて、虫が良すぎるのよ…!
「………」
あ、れ。なんで何も言い返してこないの?
不思議に思ってNをちらりと見やると、そこには苦しそうなパチリスを抱えるNが、いて。
「パチリス…!?」
がたん、私はすぐにNの腕からパチリスを奪って状態を見る。額に手を添えると真夏の車内みたいに熱くて、
「え、Nっ…!」
気がつけば私はNに縋っていた。
「お願い、この子を、パチリスを助けて…!」
確かNはポケモンの身体に詳しくて、医療についての知識も豊富だった筈…
Nはびくともしない。
「こんな時にだけあんたに頼るなんて最低だって分かってる、けどパチリスは…!」
尚も叫ぶ私をNが優しく制して、それから静かに
「大丈夫、心配しないで」
と言ってくれた。