私はチャンピオンのシロナさんに勝って、最近ではバトルフロンティアに入り浸っている。
なぜならバトルタワーで勝ち抜きたいから。
もっと言うとジュンのお父さんのクロツグさんに会いたいから。
クロツグさんに会うということは、…その、好きな人のお父さんに会うということだ。

私は小さい頃からジュンのことが好きだ。
ジュンは鈍感すぎて全く気づいてないけど…
多分、ジュンが興味があるのはポケモンとポケモンバトルと強くなることだけ。
だから私がバトルタワーを勝ち抜いてクロツグさんにも勝利したらジュンだって私のこと見てくれるはず。
その為には私が強くならなきゃいけない。

…ジュンは毎週末、バトルフロンティア近くにあるしょうぶどころへとやって来る。その時によくバトルを申し込まれるけど、私は断っている。
もっと、もっと強くなってからじゃないと意味がないから。
私は今までジュンに負けたことはないけど、バトルフロンティアで勝ち抜く為にも、自信を付ける為にも、もっと強くならないと駄目なんだ。
それまではジュンと闘うことは出来ない…

「頑張ってるね、名前ちゃん!」
「スズナさん」
しょうぶどころには、私が今まで闘ってきたジムリーダーさん達もよく来ている。
ジムがお休みの日を見計らい、ジムリーダーさん同士お互い闘って、ポケモンを鍛え合っているらしい。
「どう?バトルフロンティア、なかなか手強いでしょ」
「はい…」
「たまには息抜きも必要だからさ、里帰りでもしてみたら?」
「…さと、がえり…」
私は気がついた。もう何週間、フタバへ帰っていないだろう。もう何週間、ママの顔を見ていないだろう…。
「ね?一回休暇でもとってみたら?」
「スズナさん…ありがとうございま「名前!ここにいたのか!!」
しょうぶどころの扉が、煩い音をたてて開いた。と思ったら、そこには息を切らしたジュンが立っていた。
私に気がつくと、無理矢理引っ張ってしょうぶどころから引っ張り出された。
「スズナさ…」
私がスズナさんに助けを求め振り返ると、そこには怪しい笑みを浮かべるスズナさんしかいなかった。

「いいか?名前」
「な、なに!?」
「…オレ、思ったんだ。最強のポケモントレーナーになるこのオレと、チャンピオンに勝ったお前が一緒に闘えば…」
「いやジュン、シロナさんに勝ってなくない?そういえばなのになんでバトルフロンティアにいるの?まさかお父さんのコネ…」
「うっ、うるせえ!とにかく!」
ジュンは慌てふためいたように私の話を制止した。
「何よ?私これからフタバに帰ろうと思ってたんだけど」
「ダブルバトルしようぜ!!」
「えっ…ダブル、バトル!?ジュンと私で!?」
さすがにその発想はなかったなあと微笑していると、ふいにジュンに腕を捕まれた。
ちょ、ちょっと、痛いんですけど。
「いいから早くバトルフロンティア行くぞ!着いてこい名前!」
前だけ向いて私の方を向いていた訳じゃないけど、そう言った時のジュンの頬は、少し朱色になっていた気がした。
(認めてくれてる、のかなあ)
(お前が強いことは認めてるけど?)


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