「ねえ名前、ひとつ聞いていい?」

「ん?どしたのチェレン?」

「名前はさ、どうしてボクが好きなの?」

「!」











な…何を言っているんだチェレンは。
てらてら光っている薄いレンズ越しの目でじ…っと見つめられてそんな事を突然言われたものだから、私は思わず飲んでいたジュースを吹き出してしまった。

「あーもう何してるんだよ、全く名前は」

私にジュースを吹き出させた張本人のチェレンは、そう言いながらいかにも嫌そうにジュースが零れた絨毯をティッシュで拭いている。

「あーあ、これシミになっちゃうよ…」

「……どこで」

「え?」

「どこで聞いたの?そ、その…私がチェレンをす、好き、みたいな話」

―私がさっきジュースを吹き出してしまったのは、それが図星だったからだ。
けど私はそれをベルとアララギ博士にしか言っていないのだ。

…正確に言えばアララギ博士には、私がベルに相談をしている時に盗み聞きされたようなものだけどね…

チェレンが口を開いた。

「は?何言ってるの名前、キミがボクを好きなのなんてボク、とっくに知ってるよ」

「…え?」

「名前ったら今日もそんな短いスカート履いてさ、ボクを誘ってるようにしか見えないでしょ」

また、図星だった。
「ち…違うもん!…っていうかチェレン、で…その…」

私としてはチェレンの返事が聞きたかった。
私から告白した訳じゃないけど、チェレンがそのことを知ってたなら、どうしてもコタエが気になって…

「え、何?どうしたの?」

―この人はどうしてこういう時に限って鈍感なのだろう…
いや、わざとやっているようにも見えるんだけど…気のせい、だよな、うん。

「…あのね、だから…チェレンは私のこと、好き?」


(どうして、)


「どうしてそんな事聞くの?好きに決まってるじゃないか」


(コタエは自分でもわからない、

キミにしかわからない)


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