「名前、ボクとポッキーゲームしよう」
あの有名な棒状のチョコレート菓子の先端をくわえ、ライモンシティの遊園地にあるベンチに座り読書をしている私の前に突然現れたクダリさん。
クダリさんは、いつも突然現れるんだ。
「ポッキーゲーム…?」
読みかけの本に栞を挟んで閉じる。そういえば今日は11月11日、ああポッキーの日だったなあと考えているとクダリさんが隣に座ってきた。
そして私の顔を覗き込んでくる。
「もしかして、ポッキーゲーム知らない?」
図星だった。私はポッキーゲームというものを知らない。11月11日がポッキーの日ということは数日前にトウコちゃんから聞いて知っているし、クダリさんがポッキーをくわえている辺りそれを使ったゲームじゃないか、とは思ったけれど。あの時はトウコちゃん、用事があってゲームの内容までは聞けなかったんだ。
私がこくりと頷くと、クダリさんは「じゃあボクが教えてあげるよ」と楽しそうに笑った。
クダリさんは今までくわえていたポッキーを一人で食べきってから、袋からまた新しいポッキーを取り出した。
「まずボクがこっち側をくわえるでしょー、そしたら名前も向こう側をくわえるの。それで両端から食べてくってゲームだよー」
さ、やろうよと私を促すクダリさん。だけど待って、そこで私の思考回路は当然の如くショートする訳で。
だってポッキーを両端から食べていくってことは、最終的には…。
そんなことを考えていたら無理矢理ポッキーをくわえさせられた。ちなみにチョコレートがコーティングされていない、普通に食べる時だったら持つ部分を。クダリさんは甘党だから、こんな時だっていうのに少しでも多くチョコレートを食べたかったのかも、しれない。
「いただきます」
クダリさんも反対側をくわえて、食べ進めていく。
私とクダリさんの唇がくっつくまで、あと3秒。
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こちらも初クダリさんでした