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(名前変換無し)




「着いてくるなよ」と嫌がるセブルスを無視して、私は彼を追いかけるように歩いていた。セブルスは長い髪を揺らしながらそんな私となるべく距離を置くように早歩きで歩く。
こんな扱いをされてはいるが、セブルス・スネイプとは一年生で同じスリザリン寮になってから七年生になった今もずっと友達だ。(と、私は勝手に自称している。)
彼に言わせると"ただ気付いたらお前が隣にいるだけ"、らしいが。

セブルスはなんだか最近、以前よりもさらに素っ気なくなった。普段から素っ気ない人ではあるがなんだかんだと私の相手をしてくれるのに、最近はからっきしである。こういう時は大体リリー・エバンズのことに関してだと相場が決まっている。もう彼女に絶交されたと言うのに、これ以上更に悪いことなんて彼に起こり得ると言えるのだろうか?

しかし私はすぐにその理由が分かった。
前方から来る二つの影に私は嫌と言うほどに見覚えがある。ジェームズ・ポッターとリリー・エバンズだ。なんと驚くことに、二人が寄り添い合いながら歩いて来るではないか。信じ難いその光景にセブルスを見れば、彼は頭が床に着いてしまうのではないかと思ってしまうくらいに猫背になって俯いていた。
それから段々と近づいて来たジェームズ・ポッターの顔をすれ違い様に見ると、彼は殴りたくなるような表情を浮かべて私達を見た。一方リリー・エバンズは、全くこちらに見向きもせずに無表情で去って行ってしまったのだった。

俯いて立ち止まったままの彼に何と声をかければ良いのか悩みに悩んだ末に私の口から出た声は、「セブルス……」と力無く消え入りそうな小さな声だった。震える手で彼の肩に僅かに触れれば、彼は「触るな」と、私の手を振り払った。

彼女は、リリー・エバンズはきっとバカだ。何故ポッターなんだろう?何故セブルスじゃダメなんだろう?確かに彼は基本的に嫌味で冷たい人だ。だけど隣でずっと見てきた私には分かる。セブルスは彼女を本当に好きでいるのに。
そして彼もーーセブルス・スネイプも大バカ野郎だ。本当に好きだったら、惨めでも、かっこ悪くても、みっともなくても、彼女に縋るべきだった。悪いことをしてしまったなら何度だって謝れば良かったんだ。何故簡単に諦めてしまうの?私の想いをこうして突っ撥ねるのなら、何故そこまでしないの?


「なんでお前が泣くんだ」

ずっと胸につっかえていたもやもやを吐き出すように、涙が溢れて止まらなかった。別に私が辛くて泣いているんじゃない。セブルスの辛さを思って泣いていた。きっと彼は泣かないだろう。だから彼が泣けない分、私がいっぱい泣いてあげようと思った。

「お前が泣いてると調子が狂う、泣くな」

そう言いながら私の涙で湿った鼻をぎゅっと摘んだその手は震えていて、俯いた彼のうねる黒髪から覗く青白い肌が、僅かに湿っていることに私はその時初めて気が付いた。


つまむ セブルス



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