02 最悪な再会
長い夏休みが明け、私は4年生になった。
両親と別れた私は人でごった返す9と3/4番線のホームで大好きな親友の後ろ姿を必死に探す。
もみくちゃにされながらも背伸びをして遠くを見渡せば、一際目立つ綺麗な赤毛をようやく見付けることが出来た。
「リリー!」
「ナマエ!」
私が遠くから大きな声で呼ぶと、リリーは驚いた顔でこちらを振り向き、それから私の元まで人混みを掻き分けながら近寄って来る。私も人の波に負けじとリリーの元へと駆け寄れば、リリーは「会いたかったわ!」と私を強く抱き締めてきた。
「髪、切ったんだね」
そう言ってリリーの少し軽くなった毛先に触れると、彼女は「よく気が付いたわね!凄いわ、さすがナマエね」と照れたように笑った。その笑顔がとても輝いていて、つられて私も笑う。
リリーは夏休みの間に何だか前よりも大人っぽくなった気がする。
「そう言うナマエは髪が少し伸びたのね」
「そうかな?」
「そうよ!……あ、汽車が発車しちゃうわ!早く乗りましょう!」
汽笛が鳴り響き、発車するギリギリのところで私達は急いで汽車に乗り込んだ。
汽車の中は相変わらずの混雑で、中々空いているコンパートメントが見付からない。10分ほど探し回り、やっとの思いで一つだけ空いているコンパートメントを見付けることが出来た。
二人でお互いに向かい合うようにして席に座り、ようやく一息付いた時にリリーは私の目を真っ直ぐ見つめて唐突に「ねぇ」と声を掛けた。綺麗な緑の瞳がきらきらと輝いている。
「ナマエ、少し大人っぽくなったわ。私びっくりしちゃった!」
「こっちこそ、リリーが急に大人っぽくなったからびっくりしてたところだよ!」
私がそう言うと、リリーは「私達って本当に気が合うのね!」と言いながらクスクスと笑い始めた。
リリーとは入学してすぐに仲良くなった。同室で、更には彼女もまた私と同じマグル生まれということもあり意気投合したのがきっかけである。落ち込む度に励ましてくれる明るく優しいリリーのおかげで、私は以前よりも断然明るくなり下を向くことは無くなった。ブラックの前以外では、だが。
私達は夏休みで会えなかった分を埋めるように語り合った。
どれもこれもくだらないことで、やれロンドンに新しくお店が出来ただ、フローリアン・フォーテスキューのアイスクリームのフレーバーでは何味が好きだなど、そんな日常的な会話だ。それでも私達には絶えず笑いが溢れ、幸せな時間を過ごしていた。
しかしそんな一時をぶち壊すかのように、勢いよくコンパートメントの扉が開かれる。
驚いて振り向けば、そこに立っていたのはよりにもよって今一番会いたくない、ジェームズ・ポッターにピーター・ペティグリュー、リーマス・ルーピン……それからシリウス・ブラックだった。