28 クリスマスプレゼント




クリスマスの朝、私は飛び起きてリビングへ向かった。一番最初にプレゼントの山が目に入り、両親に「おはよう」と適当に挨拶をしてプレゼントの元へ走った。

同室の女の子達から届いた小さな小包の中から、リリー・エバンズの名前を見つけ出した。ピンクのかわいらしい包装のされたそれを包装紙が破れないように丁寧に開ける。包まれていた白い箱を開けると、中からかわいらしい小さな花の髪飾りが出てきた。中に入っていた説明書きはこうだーーあなたの気分で色が変わる!ハッピーな時はピンク、びっくりした時には黄色に、悲しい時はブルーにーー
その説明書きを読みながら頭につけると、お花がピンクに発色した。ハッピーだ。
それから小包を順に開けていく。お菓子や文房具が私の周りに小さく山を作っていく中、最後に茶色くて薄い小包が出てきた。差出人はやはりと言うべきか、リーマス・ルーピンだ。包みを開けると、中からはかわいいキラキラした便箋と羽根ペンが出てきた。同封されていた小さな羊皮紙のメモには「休暇明けに会えるのを楽しみにしています。」と丁寧な字で書かれている。私はにんまりと笑顔を作り、すぐさまリリーに電話をかけたのだった。


あっという間にクリスマス休暇が終わった。両親に別れを告げてリリーを探す。しかし今回は私が見つけるよりも早く、リリーが私を見つけた。

「ナマエ!」

リリーの華やかな笑顔に、私も思わず笑顔を浮かべる。クリスマス休暇中に一度電話で声を聞いていたが、とても久しく会っていないかのような感覚だった。それだけ私はリリーといつも一緒にいるのだろう。

「リリー、プレゼントありがとう!」
「やだナマエ、それ電話でも聞いたわ。私こそありがとう!」

私はリリーに喋るコンパクトミラーをプレゼントしていた。外見のチェックをしてくれるちょっと口煩いコンパクトミラーだ。リリーは早速そのコンパクトミラーに今日は顔が浮腫んでいると指摘されたと笑いながら、私達はそのまま汽車に乗り込んだ。

「あ……」

リリーが小さく声をあげた。リリーが見つめる先に私も目線を移すと、セブルス・スネイプがスリザリンの男の子と何やら話し込んでいる。彼にも友達がいたんだと失礼なことを思いながらリリーを見れば、リリーは眉根を寄せて心底嫌そうな顔を浮かべていた。

「エイブリーだわ。私あいつ嫌い。あっちに行きましょう。」
エイブリー……ああ、あのスリザリンのなんとなく嫌な奴。話したことこそないが、リリーが顔を歪めるのも頷ける。そんな奴と一緒にいるなんて、とリリーに腕を引かれながらちらりとスネイプを見れば、彼もまた一瞬此方を見遣ってそれからエイブリーと共に奥の方へ消えてしまった。


ホグズミード駅から馬車に乗り込む際、私はキョロキョロとリーマスを探していた。汽車の中では混み合っていて中々会えなかったからだ。それに気が付いたリリーはクスクスと隣で笑い出す。

「ナマエ、休暇中にリーマスに手紙は書いたの?」
「うん、一言だけ……"プレゼントありがとう、私も会えるのを楽しみにしてます"って。」
「ダメよもっといろんなことを書かないと!」
そう言うリリーに「ははは」と乾いたような笑いを送れば、彼女はやれやれと呆れた顔で馬車に乗り込んだ。


新学期が始まり、最初の土曜にレイブンクローとハッフルパフのクィディッチ対抗試合が行われることになった。
最近スネイプは汽車で一緒にいたエイブリーやマルシベールという子達とつるむようになっており、リリーはそれを目撃する度に鼻に皺を寄せるので勉強会どころでは無くなっていた。

「ナマエ、勉強なら私が教えるわ。」

リリーは金曜の夜にそう私に告げた。
「スネイプはいいの?」と遠慮がちに聞けば、「いいの」とピシャリと答える。

「あの嫌な友達といる限り話しかけられないもの。」

確かにそうだ。スネイプは兎も角、あの二人はすれ違う度に私達を汚い物でも見るかのような表情で見ることが多かった。本当に嫌な奴らだ。リリーはスネイプがそんな奴らと仲良くしているのをひどく傷付いた顔で見ていた。今回はリリーの気持ちも汲み取って、無理に一緒に勉強するのは諦めよう。
私は「うん」と頷くと、そのままベッドに潜り込んだ。







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