01 あなたはバカわたしはブス




彼の第一印象は、兎に角最悪な物だった。


「おいそこ退けよ、ブス」

頭上から突然降りかかった言葉に目を見開き、私は彼の顔を見た。
私よりも背の高いその少年は、なんとも綺麗な顔をなんともわざとらしく歪ませ、私を見下すように見ている。私が俯きただ黙って道を開けると、彼は満足そうに鼻で笑い肩で風を切る様に去って行った。

それが私のシリウス・ブラックの第一印象で、一番古い記憶。新しい環境に不安でいっぱいだったまだ幼き11歳の心を、彼は無残にも引き裂いたのだ。
彼から受けた傷は思ったよりも深い物で、私は常に顔を見られることを気にするようになり下を向くようになってしまった。

そんな彼とは長いこと口を利いていない。
私はいつの間にか「シリウス・ブラック探知機」が備わり、彼が近付く気配がする度に出会してしまうのを回避し続けていたのだ。






あれから3年。彼は見事に眉目秀麗で成績優秀に育ち、グリフィンドールの憧れの的となった。
一方私はというと、彼の言う通り見事に不細工に育ったのだった。





あなたはバカ
      わたしはブス




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