12 企み




時計の秒針が一刻一刻進む度に、私は心臓が徐々に萎んで行くのをありありと感じていた。
あと10分、あと5分――……。
突然授業終了の鐘が鳴り響き、萎んでいた心臓が驚きでまたわずかに膨らんだ。しかし帰り支度をする生徒を掻き分けこちらに向かってくるマクゴナガル先生の顔を見た瞬間、また萎んでいった。
マクゴナガル先生の顔は口を真一文字に結び、引きつっている。

「夕食を済ませたら温室に向かうように。」

マクゴナガル先生はきびきびとそれだけ言うと、私を通り越して後ろに向かった。恐らく同じことをポッターとブラックに伝えに行ったのだろう。

「ナマエ、あなた本当に大丈夫?いくら罰則だとは言えあいつらと一緒だなんて……」
「リリーは何も心配しなくていいんだよ。それよりお腹空いちゃった!早く大広間に行こう!」

私はそう言うと困惑した表情を浮かべるリリーの腕を引き、一度も振り返らずに教室を後にした。


「ミョウジ」
大広間で食事を終え温室に向かおうと出口まで向かう途中、突然声を掛けられ振り向けば、ルーピンが申し訳なさそうな顔で座っていた。(ルーピンの向かい側の席にブラックとポッターが座っている様な気がしたが私は彼らを完全にシャットアウトした為そこにはいないということにしておく。)

「今日はごめんね、僕も罰則を受けられればいいんだけど……」
「自分から罰則受けたいだなんてリーマス、お前ついに狂ったか」
「気にしなくていいよルーピン、巻き込んだのは私だから。それにあなたは病気でしょう?私は一人で大丈夫だよ。」
「僕達もいるんだけど。」

所々で口を挟んでくる二人を無視して会話を続けていると、ブラックの表情が歪むのが視界の隅に見えた。明らかに不機嫌な顔だ。

「じ、じゃあ私もう行くね……」
「待って!僕も君と行くよ。」

突然ポッターはそう言うと勢いよくかぼちゃジュースを飲み干し、満足気な表情で口元を拭い、それから立ち上がった。隣に座っていたブラックは驚いた顔をしてジェームズを見つめている。
今の私も、きっと驚いた顔をしているに違いない。

「先に行ってるから、シリウスも早く来いよ。」
「はぁ?お前……」

ポッターはブラックの言葉を無視して「じゃあ行こうか」と勝手に歩き始めていた。




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