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優しい貴方、残酷な僕


 実はガウの父親の家に一泊しようかと考えていた。あのオヤジ、周囲の出来事にまるで頓着してないから適当に言いくるめて部屋を借りるのは簡単そうだったのだ。
 でも日が暮れない内に少しでも先へ進んでおきたいとマッシュが言うので仕方なく屋根と壁のある家を諦めて出発した。野宿か……つらいな。
 それにしても、私がガウの父親と話している間にマッシュがシャドウを仲間にしていたのには驚いた。ここで仲間が増えるなんて教えていなかったのに、放っておいても自然とシナリオ通り進むようになっている。私がちょっかい出す意味はないんだよなと再確認して少しだけ寂しかったりもする。
 ちなみにガウの父親だけど、オヤジが使い方を忘れてしまっているだけであの家にある物は何も壊れてなんかいなかった。本当に動かなくなっていたのは時計だけだ。というわけでササッと表面上の掃除だけして「修理しときましたよ」って報酬をもらってきた。紛うことなき詐欺である。
 もうじき仲間になる彼の息子を守ってくれるマッシュたちのために使うんだから許してほしい。それはもし正気を失わずにいたら親父自身がやったであろう、いや、やらなくてはならないことなのだから。
 あのオヤジ、好きではないけど嫌いにもなれないんだよな。悲しい経緯ではあったが、結果としてガウは立派に育っている。父親としてそれを誇る心が壊れてしまっているのが残念でならない。

 一軒家を出て三人と一匹での旅となる。こっちのルートに来てよかったのかもしれない。ティナと一緒にナルシェへ行っていたらエドガーやバナンを相手に私の素性を話すはめになっていた可能性もあるのだ。権力を持つ人にだけは絶対に話せない。その点マッシュ編では仮にバレても問題のなさそうなキャラクターばかりだった。
 異世界人であることと世界崩壊の話を打ち明けて、肩の荷がおりると同時に私はマッシュに対して心を開ききっていた。そしてシャドウもまた、長く行動を共にするのは先のことなので緊張感を抱かず話せる貴重な相手だと言える。
 全身真っ黒でマスクをしていて表情が窺えず、ほとんど喋りもしないシャドウはかなり話しかけにくいオーラを纏っていたけれど、マッシュは全く臆することなく普通に話している。シャドウの方でも微妙に反応に困りつつも邪険にせず応じていた。
 きっと疑って避けようとするロックやエドガーの反応の方が真っ当なんだとは思う。でもこれだけ怪しげな男に屈託なく話しかけられるマッシュの純真さは好ましい。こういうところに毒気を抜かれてしまうんだろうな。
 私は私で、帝国陣地での猫真似やティナとの会話やなんかを知っているのでシャドウに対する恐怖心はない。ロックたちに接する時と変わらない態度で話している。結果、無防備かつ愛想のいい私たちにシャドウが一人で困惑するはめになっていた。
 誰もがビジネスライクなお付き合いをしてくれるなんて思うなよ。マッシュは私のことですら仲間だと言い切る性格だ。シャドウ本人は数日の道案内をするだけのつもりでも、マッシュにとって彼はもう守るべき仲間の一人になっているのだ。
 そういえばガウの父親からせしめたお金はもしかしたらシャドウの報酬に必要かもと思ってマッシュに預けてあるんだけど、よく考えたらマッシュ編で同行してくれる時は無料だった気もする。ロックからはお金とってたくせにね。
 ティナとマッシュにはなんとなく優しいシャドウ。分からなくはない。どっちも可愛がりたくなるタイプだ。

 帝国陣地に程近い森の手前で一泊することになり、木の枝を立てて布を被せるというテントと呼ぶにはあまりに烏滸がましいものを設置した。気休めの風避けだ。
 私とマッシュは装備が何もないので宿泊用具というとシャドウが持ってる簡易寝袋のみ。地面に直接寝転がって眠れるかどうか心配だけれど他人の寝袋を奪い取るのも嫌なので頑張ってみる。シャドウは途中で離脱してしまうだろうし、モブリズに着くまでこんな夜が続くのだから慣れなくてはいけない。
 夕食はマッシュが行商人から仕入れていた、まさかの笹かまぼこ。この世界で笹かまぼこと呼ぶのかどうかは知らないけれど味や形状は私の知るものとまったく同じだった。ドマ周辺には漁村が多く魚料理が豊富なのだそうで日本人にはとても嬉しい土地である。
 インターセプターは飼い主の手からぶつ切り肉をもらってご満悦だ。夜は交代なしでインターセプターが見張り番をしてくれるので晩御飯も一番豪華になっている。敵の気配に敏感な美形犬のおかげで戦闘要員であるマッシュとシャドウがゆっくり眠れるのはありがたい限りだね。
 疲れが溜まっていたせいだろうか横になってすぐ眠りに落ち、明け方マッシュに起こされるまで熟睡していた。野宿が問題ないと分かったのはいいのだけれど男所帯で何の警戒心もなく眠ってしまうのは女としてどうなのかと少々落ち込んでみたりもする。

 朝の陽光を頼りに森を抜けて、昼前に帝国の陣地へ到着した。ドマ城攻略の真っ最中であるためかなり兵士が多い。
 人目を避けテントの影を縫うように進む。隠密行動は私が足を引っ張ってしまう可能性が一番高いのですごく緊張する。武器を詰め込んだ箱の後ろを這いつくばって通っていた時、すぐそばで兵士の声が聞こえて心臓を吐きそうになった。
「なあ聞いたか? あいつレオ将軍を追い出して自分が将軍になろうと企んでるってよ」
「聞いた。あんな野郎が将軍になったら俺は実家に帰る」
「帰りたいと言って帰れるならいいさ。だがあいつがそう簡単に……」
「おっ!? 待て、噂をすればおいでなすった」
「チッ、仕方ねえ。持ち場に戻ろうぜ」
 更に複数人の足音が近づいてきた。あちらからちょっと身を乗り出して物陰を覗き込めば私たちの姿は丸見えだ。
 マッシュとシャドウは身動ぎひとつせず息を潜めている。インターセプターは素早く身を隠してどこにいるか分からない。私も恐怖を堪えて目を閉じた。影が揺れるのにもビクビクしてしまうから、視界からの情報を減らした方がじっとしていられるだろう。音を立てないように浅くて長い呼吸を心がける。やがて響く甲高い不愉快な声も聞かないふりをした。
「おい! ちゃ〜んと見張ってるか、お前ら。んん?」
「これはこれはケフカ様ではございませんか。ご機嫌はいかがでございましょう?」
「ふんっ。挨拶なんかどうでもいい! いいか? しっかり見張ってなかったらヒドイ目にあわせてやるからな!」
 幸いにもケフカはその場に長居せず、手下をぞろぞろ引き連れてすぐに去って行く。なんなんだよ。ケフカのくせに真面目ぶって巡回なんかするなよ。おかげでこっちは命懸けのかくれんぼだよまったく。
 しかし見張りの兵士がまだすぐそばにいるので愚痴も吐けない。
「お前の下で働くくらいなら反乱軍に頭を下げた方がマシだぜ。……ケッ。あいつにゃレオ将軍の爪の垢でも飲ませてやるべきだな」
「おい、声の大きさに気をつけろ。まだそこらにいるんだぞ。あの道化野郎は地獄耳で執念深いんだからな」
 愚痴っぽいやつらの注意がケフカの後ろ姿に向いてるうちに、私たちもさっさとその場を立ち去ることにした。
 兵士たちがしっかり見張っていてくれたお陰でなんとか通り抜けることができたようなものだ。充分に距離をとってから、顔も知らない彼らがいる方に向き直って右手を上げる。
「彼らの職務怠慢に感謝して敬礼」
「バカやってないで行くぞ、ミズキ」
「ノリ悪いぞマッシュ〜」
「お前ねえ、ちょっとは緊張感を持てよ……」
 緊張なら充分してますとも。ほぐすためにふざけているだけだ。

 さて、ここは武器庫のようだ。空っぽの魔導アーマーや弾薬を入れた箱が所狭しと並んでいる。入り口が厳重に見張られている分そこを抜けてしまえば中はそれほど警戒されていない。兵士の気配がないので少しだけ緊張を解くことができた。
 軍用犬のふりをして周辺を偵察してきたインターセプターに案内され、無人のテントに忍び込んで一息つく。
「あまり統率がとれてないな。俺たちにはありがたいけど」
 声を抑えたマッシュの呟きに、愛犬の耳の後ろを掻いてやりながらシャドウが答えた。
「ここの担当はレオ・クリストフの軍だ。古参兵が多い精鋭集団だが、ケフカ率いる人造魔導士団とは仲が悪い」
 なるほどさっきの脳筋臭い見張り兵はレオ将軍の部下だったか。尤も、レオへの贔屓目なしに見てもケフカは嫌われていそうだからレオの部下でなくても反応は同じだろうが。
 シャドウには私がティナの世話係だという仮設定を話していない。後からロックやセリスを問いつめて情報を擦り合わせるようなこともないだろう。というわけで、安心していろいろ聞ける。
「レオのとこには魔導士が一人もいないのかな?」
「やつらを有効に運用できる者は未だ限られているからな。後詰めの魔導士団は全員ケフカ・パラッツォ直属だ」
「そりゃ揉めるだろうな」
 眉をひそめて言うマッシュに私も頷く。
「魔法が使えない兵士から見りゃ、実験で苦労せず無敵の力を得ただけの素人のくせに実力でここまで来た俺たちに偉そうな顔をするな、っとでも言いたいわけだね」
「そんなところだ」
 こういう細かい話を聞けるのは地味にありがたいな。私は誰も知らない重大な秘密は知ってるけれど、誰でも知ってるはずの常識はさっぱり知らないのだ。
 単にケフカがレオを嫌ってるだけだと思っていたが、その部下同士も仲が悪いのだ。そしてその険悪な関係はケフカの人格以上に魔法を使える・使えないという兵士としての優劣が関わっている。
 こんなことゲームをプレイしてる時には考えもしなかった。きっとこの世界に生きる人、それも帝国人には常識だ。覚えておこう。
 そうこうしてる間にテントの外がなにやら騒がしくなってきた。
「突撃が始まるようだ。今のうちに抜けるぞ」
 ここから前線へ向かっていく。陣地の北側より兵士は更に増えるだろう。気が滅入りそうだ。

 アサシンというより忍者のように影に潜んで先導していたシャドウが、さっと手を上げて私たちを制止する。横手の少し離れたところで司令官っぽいのが二人で話していた。あの世紀末な髪型はレオ将軍か。
「将軍、心構えはできております。いつでも御命令を!」
「そう焦るな。今ドマ城に攻め込んだとしても無駄な犠牲を払うだけだ」
「帝国のためなら私はいつでも命を捧げる覚悟です」
 レオ将軍は一人で勝手に盛り上がっている兵士を宥めるように肩を叩いた。ここからでもチラッと顔が見える。
「お前はマランダ出身だったな」
「は? は、はい」
「故郷には家族もいるだろう。この私にお前の剣を持って行けというのか? どんな顔をして告げろと? お前は帝国軍の兵士である以前に一人の人間だ。命を粗末にするな。ガストラ皇帝もきっとそうお望みだ」
 思わず「んなわけあるかい」と小さく声に出てしまって慌てたマッシュに思いきり口を掴まれた。顎が砕けちゃうよぉ。
 レオの言葉に違和感を抱く。心の奥の方が「なんかあいつ好きじゃないかも」と呟いた。今もドマ城では突撃部隊の連中が次々と死んでいる事実などさっぱり忘れているらしい。
 自分が人間扱いされたことを無邪気に喜ぶ兵士を押し退けるように、新たに伝令の兵士が駆け込んできた。先程の話が聞こえていたのか白けた顔をしている。そりゃまあ戦争やってる最中に上官から「命を粗末にするな」と言われても反応に困っちゃうよね。
 察するにあの伝令の人は“一人の人間である前に帝国軍の兵士”として生きているのだろうな。確かにケフカの性格は捻れまくってるが二人の間に軋轢ができるきっかけを生んだのはレオ将軍のような気がする。ポジティブで悪気がない人間って、よく他人の地雷を踏むものだ。
「閣下、伝書鳥が到着しました」
「ありがとう」
 手紙を受け取ったレオ将軍の眉が歪む。このタイミングで彼が呼び戻されるのはセリスが裏切ったからだろう。しかし、それだけではないかもしれない。
 ヴァリガルマンダを奪取すべくナルシェへ赴かねばならないはずのケフカもまだここでドマ攻略にあたっている。ガストラとしてはドマ城を陥落させるのに時間をかけたくないはずだ。長期戦を目論むレオの考えとは食い違っている。
「……陛下が私をお呼びだ。先に本国へ帰らねばならない。ここはお前たちに任せる」
「承知いたしました」
「くれぐれも早まった真似はせんようにな。頼むぞ」
「はいっ。お任せください!」
「どうぞお気をつけて、閣下」
 二人の兵士の温度差がすごくてなんだか居たたまれなくなった。レオ将軍もあれはあれで、陰では結構嫌われているのかもしれない。

 お前たちに任せるとは言うけれどレオ将軍が帰国したらここの責任者は同格のケフカになるだろう。もしかしたらガストラの手紙には「ドマ城攻略の任はケフカに」なんて書かれていたんじゃないかと邪推してしまう。そんな私の隣でマッシュは感心したように言った。
「敵とはいえ、なかなか分別のある男のようだな」
 猜疑心でドス黒くなってる私とは違い、素直なマッシュはレオを好意的な目で見ていたようだ。
「えーでもドマを降伏させるのが目的でしょ? 一方的に苦しめる方が効果的ってだけじゃん。無理に突撃を繰り返して手痛い反撃食らわなくても、向こうが勝手に餓えて追いつめられるまで籠城させとけば上から目線で有利な条件を出して勝ちをとれるもんね」
 帝国軍はツェンやマランダを攻め落としたあと北上してドマの北側に陣地を築いたから、ドマ城は既に完全包囲されている。籠城しても助けは来ない。レオ将軍としては腰を据えてゆっくりここを落とすつもりだったのだろう。この局面だけ見れば効果的ではあるのだけれど。
 驚きに目を瞠るマッシュの後ろでシャドウは私の言葉に同意を示す。
「ほとんどの軍はサウスフィガロに集結している。レオとケフカをこちらに投入したのはガストラが少数精鋭による短期決戦を求めたからだろう」
「やっぱそうだよね? なのにちんたら籠城戦なんかやってるからガストラに呼び戻されたんだよ」
 つまりケフカがあそこまで強引な手段をとるのはレオ将軍の手際が悪かったせいでもあるかもしれないのだ。レオが忠臣らしく皇帝の意を汲んで圧倒的な武力で以てさっさと陥落しておけば、ドマもツェンやマランダのように属国になるだけで済んだのではないか。
 まあ、ケフカはどちらにせよ必要もないのに暴虐の限りを尽くしただろうとは思うけれど。

 ところで、シャドウが帝国の事情に詳しすぎる気がしてちょっと引っかかっている。もしかしたらこれより前にも帝国に雇われたことがあるのかもしれない。でなければ他国から依頼を受けて潜入操作でもしていたのか。
 彼は会食イベントのあと帝国に雇われた状態で再登場するけれど、宿敵リターナーと偽りの和平を結んだばかりの帝国が怪しげなアサシンを雇うのも変だし、現段階からなんらかの伝を持っていてもおかしくはない。
 考え込んでいたらマッシュがちょっと困ったような顔で尋ねてきた。
「お前、彼のこと嫌いなのか? バナン様の時と同じような顔してるぞ」
 彼って誰だ、シャドウは大好きだけど? と思ったがどうやらレオ将軍のことらしい。それは誤解があるな。バナンと違って私はレオ将軍を嫌いじゃない。むしろ大好きだ。……向こうの世界でなら躊躇なくそう言えたはずなのだが、なぜか今は断言できない。
「まあ、いい人なんじゃないの。ああやって綺麗事で心を掴んでくれるから兵士たちも帝国万歳〜って正義を信じて死ねるんだし」
 どうせ戦うしかないのだ。ならば自分のやってることが単なる人殺しだと気づかないまま理想に向けてひた走る方が迷わずに済む。そういう意味では、レオ将軍はいい上官なんだろう。
 彼はティナが目覚めるためのキーパーソンだ。個人的にはそれ以上でも以下でもない。でも、人間性を物語る過去のエピソードを持たず記号化されたキャラクターであるレオよりも、仲間として親しみ、愛情の正負両面を知るロックやシャドウの方が愛を語るには相応しいと思っている。
 ティナを導くのはレオでなくてもいいんじゃないか?
 無感情な黒装束をじっと見上げてみる。マスク越しでは何の感情も窺い知れない。苦痛から逃れるために自らの心を切り刻もうとする気持ち、いつかティナも知る時がくるだろう。人生は清く正しいものばかりじゃない。
 それでも心を知りたがるティナを、彼はどんな目で見ていたのか。

「……ま、戦争やっといて命を大切に、なんて言われても偽善的でムカつくんだよね。さっき突撃を命じた口で何言ってんだと思うわ」
「そうかなぁ。彼は我欲で戦っていない、立派な軍人に見えるが」
「どんな想いがあろうと、どんな理屈をつけようと、一歩離れて見たら人が人を殺してるだけだよ。ケフカとレオの何が違うのか私には分からないな」
 バナンとガストラの何が違うのかも同様に分からない。
 なおも納得いかないと頭を悩ませるマッシュをよそに、レオのいた方を見つめてシャドウが吐き捨てる。
「我欲ではないと思わせる口の上手さが違うのだろう。ケフカに比べればレオは他人を心地よくさせる言葉を知っている」
「それはあるね。言葉は強いからねー。同じことでも言い方次第で印象が全然違うし」
 ケフカが「いいからさっさと死ね、お前の苦しみなど知るか」と言う横でレオは「苦しませてすまないが、正義のために死んでくれ」と言う。ああ、分かった。私はやっぱりレオ将軍が嫌いらしい。ゲームをしている時はそんなことなかったのに。
「……さっきから妙に仲いいな、お前たち。べつにいいけど」
「なにマッシュ妬いてんの?」
「んなわけあるか。なんでそうなるんだよ。断じて違うぞ!」
「そこまで念を押されると逆に怪しく感じるんだけど」
 レオはティナの正体を知っている。ガストラが幻獣たちに、マドリーヌに、ティナに何をしたのかよく知っている。それで「命を粗末にするな」だと? ガストラが本当にそう望んでいるのか真面目に考えたことがあるのだろうか。十中八九、ないだろうよ。
 責任は上に立つ者がとる。大義名分は上に立つ者が考える。レオは自ら思考することなく絶対の正義であるガストラに従うだけ。もしガストラが道を誤っても自分は裏切られた被害者のような顔をして嘆くのだ。
 嫌われ者のケフカと比べるから聖人君子にも見えるだけ。レオの言葉には中身がないと分かってしまった。知恵も思考も、自分の意思など何もない。
 なんのことはない、今までゲームのキャラクターだから気にならなかっただけで、現実的に観ればレオは向こうの世界にいる私が嫌いな人間たちと同じことをやっていた。




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