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「格好よかったねー！黄瀬くん」
「だね。みんなが騒ぐのもわかるよ」
あれからなんとか試合にも間に合い、由希子がとってくれた席でばっちり試合を観戦することができた。
「普段から格好いいけど、バスケしてると何倍も格好いい！」
お目当ての黄瀬くんを観れて由希子もご満悦みたい。もちろん私も、ずっと観たかった紫原くんの試合が観れて気分は上々だ。
「あ！黄瀬くん出てきた」
見ると、バスケ部の面々がコートから出てきた。あんなに試合で動き回っていたのに疲れている様子もない。さすがだ。
「みゆ」
「ん？」
「私、行ってくる」
「行くって...」
「他の子に負けてられない」
「ちょっと由希子？待っ...」
一目散に駆けていく目線の先にはやはり黄瀬くん。周りを囲む女の子たちの塊に、一瞬で由希子の背中が消えていった。お昼の購買でのパン争奪戦を思い出し、私はめまいがした。
「あ」
黄瀬くんから少し遅れて、他のバスケ部員も出てきた。実はさっきからこっそり探していたんだけど、やっと見つけた。私がここに来た理由である彼。
「お疲れ様！」
「みゆちんだー」
「圧勝だったね。おめでとう」
「当然じゃん」
当然と言いながらも、ちょっと得意そうだ。こういうところがあるから大きな身長にも関わらず、可愛いな、と思ってしまう。
「バスケの試合って初めて見たんだけど面白いね」
「そお？よかったね」
「うん。由紀子もね、あ、一緒に来た友達なんだけど、ずっと黄瀬くんかっこいいかっこいい言ってて」
「ふーん」
「私運動得意じゃないから、すごくかっこよく見えたよ」
「…俺は？」
「へ？」
「むらさきばらくんは、かっこよかったー？」
こてん、と可愛く首を傾げて、真っ直ぐな目で見てくる。
思ったことを言えばいいだけなのに言葉が上手く喉を通らない。黄瀬くんをかっこいいって言うのはあんなに簡単だったのに、なんでだろう。
「かっこよかった、………です」
「ふーん？」
「なに…？」
「別にー？なんでもねーし」
にやり。悪戯っ子のように笑った顔を見て、やっぱり可愛いと思った。そんなこと言ったら怒られちゃうかな。
「じゃあ俺そろそろ戻る。またねみゆちん」
大きな手が伸びきて、私の頭をがしがしと撫でた。せっかくセットした髪が台無しだ。でもなぜだか悪い気はしなかった。
紫原くんが去っていった後、ぼさぼさの髪のまましばらくぼーっとしてしまった。戻ってきた由紀子に「どうしたのその頭！」と言われたのは言うまでもない。
角砂糖をひと舐め
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