ナマエと最後に帰った日から、どれくらい経っただろう。日数にして一週間もないはずなのに、もう何ヶ月も経っているように感じた。あれからナマエとはまともに喋れていない。最低限の会話はしているが、どこかぎこちない。
あ、また目逸らした。
手の中でシャーペンの芯がぱき、と音を立てた。いらいらする。
席が隣だから嫌でも毎日顔を合わせるわけで、ナマエが消しゴムを忘れたとき貸してやったり、運んでたノートをぶちまけたから一緒に拾ってやったり、オレにしては珍しく、気遣ってやってんのに。ナマエはいつも逃げるようにいなくなった。
要するに、オレは避けられているのだった。
チャイムの音と共に教室がざわつき始める。時計を見ると、すでに4限が終わっていた。信じられない、考えごとで一時間経っていた。ノートを全く取っていなかったのは大して問題じゃないとして、このオレが他人のために時間を無駄にしたなんて大問題だ。しかもあんな奴のために。馬鹿げてる。
そのとき足元で、かしゃんと軽い音がした。見るとふざけたキャラクターの付いたシャーペンが、足元に転がっている。
少し迷ったけど、一応拾ってやった。今のこいつをからかっても、全然面白くない。
「・・・ん」
「あ、ありがとう」
一瞬、手が触れた。
「・・わ、私、購買行ってくるね。お弁当、忘れちゃって・・あはは」
露骨に手を引っ込めて、ナマエは足早にいなくなった。
机の横に下がってる手提げが目についた。バレるような下手な嘘なんてやめればいいのに。
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