「ナマエちゃん飲みすぎ」
店員から受け取ったお冷入りのジョッキを勧めてみる。…飲んでくれない。「まだ3杯目だよお」「へろへろじゃん」フルーツカクテルを煽るナマエちゃんの顔はすでに真っ赤だった。普段からふにゃふにゃのへにゃへにゃのくせに、酒が入ると余計にタチが悪い。
そっと、ふわふわの髪に触れてみる。……ナマエちゃんは気づかない。熱い頬を撫でる。反応無し。濡れた唇を親指でそっとなぞる。さすがに二つの瞳がこちらを向いた。
「ん」
唇から熱が伝わる。脳みそが溶けてしまいそうな味。個室の居酒屋にしといてよかった。
「酔い、醒めた?」
ナマエちゃんは目を白黒させて固まっていた。「ぜ、全然」ほんと可愛くないんだから。
160621