ナマエが飲み会に行くと言っていた。社会人には付き合いもあるだろうし、俺はそんなことでいちいち目くじらを立てるような狭量な男ではない。と、思っていたのだが。

教えてもらっていた時間より少し早めに居酒屋の近くまで来てしまった。するとちょうどよく店から彼女が出てきた。「ハニー」声を掛けようとしたところで隣で親しげに話す男に気づいた。「あ、カラ松」俺に気づいてナマエが手を振るが、隣の男と俺との間になんだか嫌な空気が流れる。「帰るぞナマエ」男から引き剥がすようにナマエの肩を抱いた。いつものように優しく、余裕しゃくしゃくで現れるつもりだったのに。こんなの俺らしくない。
「どうしたのカラ松。らしくないね。…まさか嫉妬?」
「ふっ、まさか。俺はハニーのことを信じているからな」
言った後に、さっきの男の顔がちらついて言葉に詰まった。
「…いや」
「なに?」
「正直嫉妬した」
こんな俺は格好良くないしナマエの彼氏として相応しくない。そう思うのに、ナマエは嬉しそうに俺を見上げてくる。頼むから、こんな俺を許さないでくれ。どんどん我儘になってしまいそうだ。

160621
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