「すごい良い天気」

一面に広がる黄色と入道雲と青のコントラストが眩しい。夏らしいことをしたいね、と話していたらナマエちゃんが「向日葵を見たい」と言った。電車を乗り継いでいつものお出掛けより少しだけ遠いところへ。夏の太陽は容赦なく僕たちの頭をじりじり焼いていく。三つ編みから覗くうなじには汗が粒になっていた。「チョロ松くん見て」手を引いて前を歩いていたナマエちゃんが振り向いた。

「綺麗だね」

柔らかく微笑むその顔に釘付けになって、言葉が出てこなかった。やっと、「そうだね」とだけ絞り出すと俯く。

ナマエちゃんのほうが、

喉まで出かかった言葉を飲み込んで額の汗を拭った。

160621
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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