なんとなく今日は甘えてみたい気分で、でも自分から可愛く甘えられるような性分じゃないし。こういうときに限ってカラ松はギターの手入れに忙しそう。私が忙しいときはお構いなしに邪魔してくるくせに!本当に勝手だよね。それでも嫌いになれないどころか絆されてる私も私なんだけど。
そっと、隣に座るカラ松に寄りかかってみる。肩に顎を乗せて覗き込むようにすると弦の調整をしてる手元がよく見えた。楽器のことはよくわからない。でもカラ松が好きなことをしてるのを見てるのは幸せだった。
「暇なのか?」
「…うーん。そうなのかも」
慣れないことはするもんじゃない。急に小っ恥ずかしくなって体を離した。
それからどれ位経っただろうか。雑誌をめくっていると、突然背中がどしっと重くなった。そしてお腹に回される二本の腕。
「わ、なにいきなり」
「んー?構ってほしいんだろう?」
後ろから抱きしめられるように話されれば、耳元で聞こえる声がくすぐったい。
「ハニーは甘えん坊だからな」
「へ?いや、別にそんなこと…」
「いつもは寂しがる前に俺が愛を囁いていたのに、すまなかったな」
全部バレてたってわけ。なんか、恥ずかしいし、悔しいし。ぷいっと顔を逸らすとカラ松の大きな手が頬に伸びてきて無理矢理目を合わせられる。片方だけ唇の端を釣り上げて、全てを見透かしたように笑う。そのまま重なった唇は熱くて、ついでに首筋を撫でる手の平も熱くて、心臓の音までバレてたらさすがに死んでしまいそう。恥ずかしくて。

160620
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -