「いただきます」

私たちの朝は早い。私の仕事は割と出勤時間が早いし、隣に住み始めたお兄さんも朝は早いみたいだ。林田さんはそんな私達の為に毎朝早く起きて朝ごはんを作ってくれる。

そういえばこのお兄さん、深夜まで帰って来なかったり、朝帰りすれすれの時間に部屋に戻ってるみたいだけど、何の仕事してるんだろ。


「そこの醤油取って〜なまえちゃん」
「はいはい」
「そこのマヨネーズ取ってーなまえちゃん」
「だからその呼び方やめてくださいよ…」

林田さんと二人きりだった食卓に、新たな一人が加わった。





恋せども乞いせども
第三話






「私のことからかってますよね十四郎さんは」
「……」

食器を片しながら、お兄さんに愚痴ってみる。しかしお兄さんは反論するでもなく私の顔を驚いたように見つめ返す。

「あれ、違いました?とーしろーさんじゃない?じゅうしろう?」
「や、合ってっけど」
「私のことは名前呼びの癖に自分は駄目なんですか」
「駄目じゃねぇけどよ…」
「だって苗字読めないんですもん。どほうさん? つちかたさんは流石に酷いし…」
「お前アレか もしかしなくても馬鹿なのか」

ふーっ と、どほうさん(暫定)は口から白い煙を吐き出した。

「別に良いよ、十四郎で」
「ほんとですか!どほうさんは優しいですね!」
「だから十四郎で良いっつってんだろ」








意外と良い人そう
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