「なまえちゃん、明日から新しい人入ってくるよ」
「へー」
「なに、興味無さそうじゃない」
「だって私関係ないですしー」
「でもあんたの隣の部屋だよ?」
「えっ」

それは、私が朝のスポーツニュースを見ながら沢庵をかじっているときのことだった。
ポリポリと規則的に鳴っていた咀嚼音が止み、私は手にしていたあさりの味噌汁を危うく取り落としそうになった。







恋せども乞いせども
第一話







ここは大家である林田さんが一人でやっている下宿であり、現在の私の住まいだ。田舎ということもあって下宿人は少なく、ちょっと前に高校生の男の子が出て行ったら私だけになってしまった。大家さんからしたら困る話だが、私はこの広い家を一人占めできて喜んでいた。なのに新しい入居者とは…
しかも隣の部屋。
もう深夜の一人コンサートできないじゃないか(これは林田さんにも怒られたけど)


「なんで隣に入れたんですか!他にも部屋あるじゃないですか!」
「近くの部屋に固まってもらったほうが何かと都合が良いのよ」
「それは林田さんの都合でしょー」
「まぁね」
「職権濫用だ…」
「とにかく部屋片しときなよ。あんた居間にまで自分の物広げてるんだから」
「……はい」

こんな微妙な時期に入居者とは一体なんだろう。怪しい人じゃないといいけど。林田さんはあれで良い人だから、騙されてないか心配だ。

言われた通りに部屋の片付けをしていたら、昔の漫画を見つけてしまい夢中で読んだ。全40巻くらいあるやつ。また林田さんにどやされた。
待ってください、あと一巻で最終巻なんです。








…あれ?39巻だけ無いんだけど
121203
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