「…っさがる、それ痛い」
「うそ」
「ほんと」
「じゃ止める」
片方だけ持ち上げていた白い太ももを、これまた真っ白なシーツの上にそっと下ろした。重さなんてあってないようなナマエの脚は細くて、真っ白で、見ていて少し不安になる。
「私、奥までくるの苦手なんだ」
「狭いからだよね。浅いしさ」
「分析しないで」
ぺち、と胸板を叩かれて、痛くもないのに「痛っ」と言って笑った。伸ばされた細い腕は、脚同様、やはり青白い。
再開しようと腰を掴みかけた手をちょっと考えて引っ込めて、ナマエのすべすべの肌の上に横になった。
「どうしたの」
「んー」
「疲れた?」
「いいや」
堅めのシーツと俺の間に挟まれて、ナマエは少し苦しそうだった。なのに文句も言わず背中を撫でてくれる。
「ふふ」
「…なによ」
「なんでもー」
小さい子供をあやすみたいによしよしとされて、でもナマエにされるとあまり悪い気はしない。不思議だ。
「なんかいい匂いする」
甘えるついでに、首筋に顔を埋めてそう言った。言ったというより、つい口をついて出たという感じだったけど。どうやら俺は、甘やかされると図に乗るタイプらしい。
「香水?」
「ううん。なにもしてないけどな」
「ふーん」
「ちょっと…やだ、くすぐったい」
やんわりと押し返すものの、決して拒んではいないのは見てればわかる。つーか、えろいな。
繋がったままの下半身に再び熱が戻ってくるのを感じた。
「ナマエちゃん」
「…ん」
「動いてもいいですか」
身体を起こしてそう言うと、恥ずかしそうに視線を逸らされた。いちいち聞くなって顔してるけど、その表情が見たくてわざと言ってるって、気づいてないのかな。
「…なんか、今日のナマエすげぇやらしい」
「何言ってんの、馬鹿」
抱え直した脚は、俺のに負けないくらい熱を持っていて、なんだかおかしな気分になる。
「…っあ、さがる、」
「やべ、あんま持たないかも」
「もう、頑張ってよ」
ナマエの照れた顔が可愛かったので、今夜は目一杯甘やかしてやろうと思った。…俺が持てばだけど。
130929