やっぱりこのベッドは、俺にはちょっと小さすぎる。ぎしぎしうるさく軋む音を聞きながら、そんなことを思った。身体の触れ合った部分は溶けそうなほど熱い。熱に浮かされた紅い顔と時折漏れる甘えるようなナマエの声に、俺はおかしくなりそうだった。

「あつしー」
「なに」

乱れた髪から汗が一雫、真っ白いお腹に落ちた。さっきからせっせと動いてる俺に、ただ喘いでるだけのナマエは眠そうに腕を絡める。そういえば今何時だっけ。窓の外は、まだ一応真っ暗だけど。

「明日早いんだよ、わたし」
「知ってるー」
「足腰立たなかったら仕事にならないよ」
「....知ってるー」

口では文句言ってるくせに、俺のうなじを撫でる手つきは妙にいやらしい。ねだるように腰に絡み付く両脚とか、下から見上げる表情も、誘ってるとしか思えないし。

「ナマエちんもさー、好きだよね〜。なんだかんだ言って」
「誰だって気持ちいいのは好きでしょ?」

そう言ってちゅ、と唇をくっつけてくるから、また俺はおかしくなりそうだった。ふわふわで、あまあまで、やめられなくて、ナマエはお菓子なんかよりよっぽどたちが悪い。

「じゃあもっともっと甘やかしてあげる」

どろどろに甘やかして、ナマエが気持ちいいことは全部やってあげて。他のこと考えられないくらい、俺に夢中にさせるの。
ずり落ちた脚を抱え直して腰を揺らすと、ナマエはまた高い声をあげた。お腹の奥のほうがひくついて、俺を更に深いところへ誘う。

「そうだ、あつし」
「んー」
「寝る前に歯磨きしなきゃだめだよ」

繋がってるところを細い指がつつ、となぞった。思わず身体が強張って、腰が引けてしまった。ナマエはそれを楽しそうに見ている。

「さっきケーキ食べたでしょ。虫歯になっちゃうよ」

声も表情も肌も、全てが甘ったるくて、くらくらする。

「今はナマエちん食べるの忙しいから。後でね」

このままずっとやってたら、ほんとに虫歯になっちゃいそう。でもそれも悪くないかも、なんて。そんなこと考えてしまう俺は、相当ナマエに溺れてる。




140213
桃色天国/ALI PROJECT
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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