「もっと力抜けねぇ?」


上から降ってきた声は熱っぽい色をはらんでいた。ぼんやり朦朧とした意識の中じゃ頭が上手く働かない。返事をしない私に、真は諦めて再び動き始めた。断続的に続く刺激に息が詰まりそうだ。腰に触れた手が熱い。

「まこ、・・も、いきそ・・」

枕にもごもごと沈み込んだ声は、果たして彼に届いただろうか。揺すられる視界が涙でぼやける。後ろからふふ、と小さく笑い声がして、背中に温もりを感じた。

「もうちょい頑張れよ」

そういう真だって、実際余裕がなさそうだった。耳元で繰り返される呼吸は乱れて、時折苦しそうに息を詰まらせる。ちゃんと興奮してるんだ。ぴったり重なり合った身体からどくどくいう鼓動が伝わってくる。こんな奴でも普通の男の子なんだって当たり前のことに、なんだか無性に安心した。

「ね、顔、見たい」

「・・・・」

「ねぇ、まこと」

「・・俺は見たくない」

首を捻って振り向くと、頬を赤らめて苦しそうな顔の真と目が合った。自分がいっぱいいっぱいなのも忘れて、思わず顔がにやける。

「見せたくないの間違いじゃないの」

私の言葉に、真は繋いでいた手をぐっと引いた。より深い所をえぐられて、意図せず高い声が漏れる。

「や、ぁ、・・っ」

乱暴に揺さぶられて、目尻に溜まっていた涙がシーツに染み込んだ。押し寄せてくる刺激に思考と身体が付いていかない。真をからかうなんてやっぱり無謀なことだった。繰り返し与えられる痛みと快楽は着実に身体に刻み込まれて、嫌というほど思い知らされる。

「っは、ぁ・・・いいよ、いって」

そうやって優しく囁くのも、ほんとにずるい。結局私は真には敵わないんだ。絡めた指に力を込めると、それ以上の力で握り返される。もう、これ以上夢中にさせないでよ。遠のきそうな意識の中で、真が名前を呼ぶ声が聞こえた。



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