ごしごしごしごし。


ここ5分くらいの反復運動に飽きてきたあたしは、ついに口を開いた。

「…ねぇ、全然勃つ気配ないんだけど。インポなんじゃないの」
「ちげーよ、おめーが下手くそなだけでィ」

仕方ないから扱く手はそのままに、先っぽだけ口に含んでみる。

ごしごしごし。

あぁ、何度やっても好きになれないなぁ。



ごしごしご、

「…っ、出そ…っ」

突然顔を歪めた総悟がそう言うので口を離そうとしたのに、後頭部を押さえられてそれは叶わなかった。どうやらまた飲ます気らしい。ほんと、悪趣味。
無駄とはわかっていながら少しばかり抵抗してみるも、更に力が強まったので諦めた。
頭上から小さく息を吐く音が聞こえ、やや遅れたタイミングで口にねばねばした熱いのが広がった。
少しでもこの行為が早く終わればいいと思って、言われる前に口の中のモノを飲み下した。


入り切らなかった体液を口の端から垂らしながら苦しそうに飲み込むあたしの様子を、総悟はさも楽しそうに見ている。

こんなモン銜えさせてなにが楽しいのだろう。いくら好きな人のだって、あたしは総悟のアレは嫌い。
前にこの事を総悟に言ったことがある。確か「そしたらどうやってお前を気持ち良くすんだよ」とか何とか言ってたような気がする。そんなこと言ったって痛かった記憶しかないんだよ、ばか。


あと、総悟は行為のときだけあたしに辛く当たる(これは彼の性癖なのかもしれない)。止めてと言われたことはしつこいくらい繰り返し、あたしが泣こうものなら「その顔やばい、興奮する」とか抜かしやがる。
普段はけっこう優しいのにな。
してる間は、ただただ苦しくて、愛されてるのか不安になる。
だからコイツとのセックスは嫌い。

唇の端に残っていたどろっとしたのを舌で舐め取ると、ふと見上げた視線が総悟のと絡まる。
目の前の男は、後始末の途中という何とも情けない格好のままあたしの口元を凝視していた。どろどろのティッシュを握り締めた手が、ぴくりと動いた。

「なぁ、」
「…なによ」
「また勃っちまいやした」


「…銜えて?」


コイツの身体もコイツのセックスも嫌い。
嫌いなのに。
コイツを嫌いになれないのはなんでだろう。
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