「朝…?」
「おはよう敦。まだ夜中だよ」
私のベッドで縮こまるようにして寝ていた敦が起き出した。私は読んでいた雑誌から顔を上げた。
「首いてー」
「すっごい変な格好で寝てたもんね」
「……ナマエちん…カリフォルニア?」
「…何言ってんの、もしかしてまだ寝てる?」
「あー間違った」
「何と?」
ベッドから降りて隣に来た敦のために、少しずれてスペースを作った。
敦が寝る直前まで食い散らかしてたお菓子の袋はテーブルの隅に追いやっておく。
「お風呂沸かす?」
「ん〜いらない」
敦は頬っぺたをテーブルに置いて、とろんとした目でこっちを見てくる。
「ナマエちんおいしそう」
「…クッキーあるよ」
「それさっき食べた」
差し出したカントリーマアムはあっさりと却下されてしまった。
「あのさー、お菓子たくさん食べたしー、いっぱい寝たしー、」
「あとひとつで、さんだい欲求?が満たされるよ、ナマエちん」
「敦は難しい言葉知ってるね」
「えらい?」
「偉い偉い」
「もっと褒めろー」
テーブルに乗せてた頭を今度は私の肩に乗せてきたので、頭をわしゃわしゃ撫でてやった。私の家のシャンプーのにおいがする。
「ねぇ、えらいオレにご褒美、ちょーだい」
そう耳元で囁かれると耳たぶを食べられた。
人間の欲は、果てしない。
130122