マジバ、窓際の席。
テーブルには、私のポテトとシェイク、彼のてりやきバーガーと烏龍茶。
そして正面、へらへら笑う――木吉鉄平。
「いいのか、リコ。奢ってくれるなんて」
「……烏龍茶くらい、どうってこと無いわよ」
「悪いな。今度は俺が奢るよ」
言うなり鉄平は、がさがさ盛大な音を立ててハンバーガーの包みを開き、いただきますとかぶりついた。
「ん、美味い」
にっこり。
とく、と胸が鳴って、熱が顔に集まる。
この笑顔と優しい声、大きな手、その他諸々をどうしようもなく好きになってしまった私は、ここ毎日、この気持ちに蹴りをつけようとしている。
ときには日向君たち部員の力を借りつつ、告白のチャンスを作ってきて、今日は三日目。つまり、ことごとく失敗しているのだ。
今日こそは、と改めて決意を固め、私はシェイクを一口飲んでから、膝の上で拳を握り締めた。
「……鉄平、あのね」
「んー?」
「私」
大きく息を吸い込んで、一拍おいて、言葉と共に吐き出す。
「あなたのこと、す」
ずずーっ。大きな音が、私の言葉を遮った。
残り少なかった烏龍茶を、鉄平が思いきりすすったのである。
「あ、悪い、リコ。何か言った?」
またこれだ。
一昨日も昨日も、ロッカーを閉める音やドリブルの音で邪魔をして、聞いてもらえなかった。
じわり、涙が滲む。
「おーい、リコ?」
「……なんでもない」
能天気な声に、苛々と悲しみが肥大して、耐えられなくなった。
シェイクと鞄を掴み、立ち上がる。
「ポテトは?」
「あげるわ」
吐き捨てて、出入口に早足で向かう。
「……ばか」
ボケてて、人の気も知らないでへらへら笑って。憎たらしいところばっかり。
それでも彼を好きな私は、どうかしてるのだろうか。
ねえ、聞こえてる?
(私の想い、何度告げれば)
(あなたに届くのかしら)