アイドルは、腹に深々と包丁を突き立てられ。
野球選手は、大好きなスポーツに滅多打ちにされ。

プログラマーは、憧れに殺された挙句冷たい身体を弄ばれ。
暴走族は、商売道具に跨ってぐちゃぐちゃにされ。

風紀委員は、策略に組み込まれて頭を割られ。
同人作家は、美しき詐欺師に欺かれ。
ギャンブラーは、ポーカーフェイスを炎に包まれ。

格闘家は、自らの境遇に心を痛め。

死んだ。
みんなみんな、死んだ。
あたしの目の前で、動かなくなった。とはいえ、あまりに残虐な光景に、あたしの記憶は所々飛んでいるのだけれど。
ああ、あたしもすぐに死ぬのだ、次はあたし、きっとあたし。と毎日ガタガタ震えて――あいつはケタケタ笑っていたようだけれど――恐怖に怯えて過ごしていた。
それがどうしてか、あたしはこうして生き延びてしまっている。
当然ながら、あたし自身が死なない限り、この恐ろしい生活から抜け出すことは出来ない。
かと言って、死にたいかと問われれば、答えはノーの一択である。

ああ、けれど。
今のあたしには、生きる理由が有る。

あの人はいつも、強い光を纏っている。影を際立たせるどころか、消し去ってしまう程の強さの、高貴さ、プライド。
あらゆるものを掌中に収めている。財、才、美。それを持つに足るカリスマ性。
あたしの塵みたいなこの名前も、あの人の甘い声で奏でられれば、忽ちダイヤモンドのような輝きを放つ。

あたしがあの人にとって、何かの足しになるかなんて判らない。いや、きっと何の役にも立たない。
あたしはあの人に何も与えられないけれど、あの人はあたしの生きる糧。生き抜く力。

あの人が傍に居る。鼓動させ、呼吸している。
それだけで。
あたしは、生きようと思えるのだ。

あゝ輝くのはあなただけ

(其れが失せるまで)
(あたしは)

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