妙な人達だと思った。


手配犯を逮捕する際にやりすぎて建造物を破壊したり、そこかしこで暴れたりでマフィアだとかチンピラ警察だとか言われているからどんな人達かと思えば。





与えられた自室で手渡された書類に判子を次々と押しながら上司の顔を思い浮かべる。






まず局長は警察でありながらストーカーと言うかなり矛盾した存在の人。

しかも身元のハッキリしない私をあっさりと雇い入れた。副長の反応から察するにいつもの事なのだろう。




しかし見た所その部分は主に副長が補っている様で、昨日や今日も書類管理や見回りで常に忙しくしていた。

私に対しても警戒心を解かない。

当たり前だ、柳生にいたという事以外は私の素性は分かっていないのだから。




しかし女だから無理だと言う様な事を言われた時は思わず反応してしまった。

今思うとせっかく真選組に入れるという時に何をしてるんだと自分に呆れる。





ようやく最後の書類に判子を押し、軽く息をついてからまた思考を続ける。






今までだって侍だと名乗ったら、女というだけで馬鹿にされたものだ。




その度に全員この腕で伸してやった。

自慢じゃないが、真面目に剣術を始めてから今まで剣で負けた事は無い。




正直、平隊士と立ち合った時も物足りなさを感じた。

それを沖田さんに読まれたのには少し驚いた。


いつも、無表情で何を考えてるか分からない、と言われる私にとってそれは珍しい経験だったからだ。




…私にしてみれば沖田さんの方が何を考えているか分からない所があると思う。


変な首輪をつけろと強要する辺りとか。


一体何をさせたかったんだろうと首を捻るが、分からない事を考えても仕方がないので止めた。





こう考えると、まともなのは副長と山崎さんだろうか。



…いや副長は何かよく分からない物を食べていたし、常に煙草をくわえている。

剣術を極める者としてあれはどうなんだろう。



山崎さん…もここに初めて来た時バドミントンをやっていた。一生懸命。

一瞬声をかけていいものか迷ったほどに。





……





やはり妙な人達だ。





そう結論づけた所で考えるのを止め、処理を終えた書類を提出する為、立ち上がる。





「あ、刹那さん。ちょうど良かった」





襖を開け廊下に出ると山崎さんに声をかけられた。

顔を上げると山崎さんは私の持つ書類に目を留め、提出するのかを訊いてきた。





「ええ。今から副長室へ行く所です。」


「ならついでにこれも頼まれてくれるかな?」






山崎さんが取り出したのは茶封筒だ。多分報告書か何かだろう。





「分かりました。其方はよろしいのですか」


「えっ、ああこれはいいんだ!!」





同じ様な茶封筒を持っていたので念の為聞いたのだが、山崎さんは慌てて首を振った。その様子に小首を傾げていると「そう言えば!」と彼は何か思い出した様に途端に話題を変えた。





「今日、刹那さんの歓迎会があるんだよ。だから夜空けといてね!」

「え」


「それじゃ俺買い出しがあるから!!」





何か言う間もなく山崎さんは風の様な速さで廊下を走り去って行った。

きょとんとしてそれを見送った後、山崎さんの言っていた事について考えてみる。





歓迎会。真選組がそんなものをするとは少し意外だった。役人というイメージが張り付いていたからだろうか。

だが明日も仕事があるだろうし、恐らく慎ましやかなもので終わるのだろう。いくらチンピラと言われていてもそこの所は弁えているとは思う。





それに、こういった行事は苦手だが他ならぬ私の為の行事なのだ、参加しない訳にはいかない。





一つため息を零して刹那は副長室へと足を向けた。









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -