雀の鳴く声が聞こえる。気持ちのいい朝だ。


中庭も昨日の騒がしさが嘘だったかの様に静まり返っている。


地面や外壁をよくよく見ればとっつぁんの発砲した弾の痕があるのが分かるが、それ以外に昨日の騒ぎを感じさせるものはない。





ぱたぱたと廊下を歩きながら、くあ、と一つ欠伸をしてから昨日の事をぼんやりと思い出す。




なんてったって刹那さんには驚きの連続だった。

容姿もそうだがあの剣の腕。

昨日の隊長との立ち合いだって最後の方は僅かに刹那さんの方が押してた。


ひょっとして沖田さんより強いんじゃないか、などと囁く隊士もいる。



まさか、とは思うがひょっとしたらひょっとするかも…と考えてしまう自分もいる。


あの天下の柳生出身だし…




やっぱり俺達芋侍の剣じゃあ名家の剣には適わないのか?


そんな事を考えると何だか落ち込んで来た。





――止めよう。




ぶんぶんと頭を横に振り暗い思考を振り払う。


朝からこんな気分になってどうする。




それに、だ。

これからあんな美人と一緒に働けるんだ、もっと喜んだっていいはずじゃないか。




今から会いに行く刹那さんの顔を思い浮かべると自然と顔が綻んだ。




よし。そうだ、まずは一緒にご飯を食べようと誘おうか。


まだ朝早い時間だし仕事の話はそれからでも遅くない。





先程の思考はどこへやら、うきうきしながら刹那さんの自室となった部屋の前に立つ。




「お邪魔しまーす」




そう断ってからガラリと襖を開ける。





「おはよう、刹那さん。これから一緒にご飯でも…」





俺の言葉はそこでぴたりと止まる。


何故なら




「よう。山崎早いじゃねーか」






其処には怪しげな首輪を持ち此方を横目で見る沖田さんがいたからだ。


しかもその人の目の前には





「…退いてくれませんか」





壁に押しつけられた袴姿の彼女がこんな時でも無表情に沖田さんの胸を押し返していた。





「なっ

何してんのォォ!?」












第二話


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